この本は、読解力と断片的知識ではないある程度の歴史的知識がないと読み解ける本ではない。著者はでき得る限りの根拠を挙げて客観的歴史解釈を試みているが、そこには斬新で説得力のある巨視的視点が見られる。国史そのものの成立経緯も検証されずにただ盲信するだけではこのような歴史的視点は得られないだろう。この著書について、根拠のないこと(このこと自体が意味不明)を根拠にして否定的な感想を述べている向きもあるようだが、それは論理的にも明証性を欠く誤謬、詭弁の類で、根拠のないことを根拠に断定も否定もできないのである。結局のところそれは意味不明の単なる閉鎖的な感情レベルの問題に収斂されるしかない。とにもかくにも、この本も尽きることのない歴史に対する興味を抱かせる一冊であることに間違いはない。