やっと最終巻。6冊全部に☆五つを付けることになったが、確かに緻密・綿密に史実・史料を調べ上げ、ほぼ一貫したトーンと、平明な語り口で、ヴェネツィアの1000年を雄大に描き切ってもらったように思う。通勤の車内が主な読書時間だったのに、引き込まれてごく短時日に読了することとなった。ありがたいことだ。
第12話「地中海最後の砦」は、東地中海で最後に残されたヴェネツィア領土、クレタ島をめぐるトルコとの長期の攻防戦の詳細が主題。そして、18世紀を迎えた都市国家、ヴェネツィアの様子をゲーテの旅行記などをも引用しながら明るく描くのが第13話「ヴィヴァルディの世紀」。最後の第19話「ヴェネツィアの死」は、近世の領土追及志向の国民国家群の狭間で苦しむヴェネツィアが18世紀末、フランス・ナポレオン軍に無条件降伏し、共和国であることを放棄するエピローグまで。市民の間から最後の瞬間に沸き上がった「ヴィーヴァ・サンマルコ!、ヴィーヴァ・レプブリカ!」の喚声の描写には、少し鳥肌が立った。