相変わらず凄い情景描写。視覚だけで感じる筈の本から、波に照り返す蒼月の冷たさ、その光を運ぶ潮の音、未だ昼の熱をはらむ夜の浜辺できしむ砂、そして目の前にいるそよぎの吐息と体の熱さ。こういう物が目ではなく頭のなかに、或いは心そのものに直に伝わるような。
前巻から通して三人の巫女達が自分の気持ちを自覚し、それに龍神が応えていくさまが彼女たちの気持ちも露わに描かれています。現代的な目で見れば優柔不断のそしりは免れませんが、ここは奥津の神の生きている島。人と神が私達の想像するよりもずっと近く、命を自然からもらって(うちは田舎だ。島ではないが結構そういう風に思えるぞ!?)生きている所です。
人としての面と神としての一面を併せ持つ様になった彼のこと、きっと読者の考えなぞ知らぬ存ぜぬと自分の考えを貫く事でしょう。
そんな日々の中、ある夜、凪の腕にいだかれている火凛。星降る様な空の下、障子の向こうで潮騒が鳴り、他の二人の寝息こもる部屋の中。布団が、夜着が衣擦れの音をたて、甘い吐息が洩れ聞こえ、更に隠されているはずの彼女の心までが私達の前にさらけ出される。こんなんを想像してみて下さい。そしてもし気になるひとは...
八巻を読んでみましょう。