物語の舞台となるのは、横須賀、海自の潜水艦内である。
だが、敵との戦闘を強いられるのは、自衛隊ではない。機動隊である。
実際的な戦闘からは切り離された潜水艦の内側では、そこに避難した自衛官二人と子ども達の物語がある。女性ならではの視線で描かれる課題や、地域や教育の問題など、それぞれが自らの問題と向き合い、成長していく。
登場人物も多く、いろんな要素を盛り込みながらも、散漫にならずに、最後までぐいぐいと引っ張る力を持つ。
たった6日間の物語とは思えないほど、いや、だからこその、濃密さ。
設定の奇抜さを忘れるほど、個人の描写、社会の描写が巧みでリアル。政府やメディア、世論への批判的な作者の眼差しも、好感を持つ。また、脇の人物の一人一人まで惚れ込みたくなるほど魅力的なところもよい。
ラストは、重苦しく深い海の底から、ようやく水面に出ることができたかのような、希望と平和な日常にほっとする。
中学生ぐらいから、大人まで、それぞれの目線で楽しみ、考える本だと思う。
じっくりと何度でも読み返したくなる、読み返すに足る小説。読み応えのある、読書の楽しみを再確認する一冊。一推し!