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これまで、この地域における欧米列強それぞれの植民地経営や、欧米列強とローカルな勢力とのかかわりあいについて記述した本は多くありましたが、「欧米列強の植民地経営」、「欧米列強とローカルな勢力とのかかわりあい」、「ローカルな勢力同士のせめぎ合い」、「過去と現在の関わり合い」等についてトータルに、歴史的な視点から記述した書物はそうなかったように思います。
地理的(海洋部)な条件がこの地域の「しくみ」(システム)にどのような影響を与えたのか。
そのようなしくみに外部勢力(欧米列強)がどのようにかかわっていたのか。
歴史的な変遷=来し方、行く方。
この地域のダイナミズムが俯瞰できる構成となっています。
最終章の詰めが多少甘く感じられるのは、この地域が今なおダイナミックに動いていることから、仕方がないことでしょう。
この先をどう見通すかは読者それぞれの力量によります。
本書は、そのために十分な材料を与えています。
私は、現在、スマトラ島の一都市に在住していますが、国民国家の枠を超えたダイナミックなこの地域の発展を日々感じて過ごしています。
著者の白石教授はインドネシア専門家として有名ですが(事実インドネシアの専門家ですが)、前任地のコーネル大学では東南アジア史を担当していました。
本書は東南アジア史専門家としての面目躍如といったところでしょうか。
インドネシアにとどまらない、著者の今後の研究の発展に強く期待します。
一般的なビジネスマンにとって、アジアに関する知識は貿易・投資投資先としての知識、アジア通貨危機といった時事問題に限定されがちであるが、アジアを理解するにはこのような歴史的な視点も必要なことを痛感させられる。 手にしやすい新書版でもあり、社会人でも一読しておくべき書と思う。
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