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海の友情―米国海軍と海上自衛隊 (中公新書)
 
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海の友情―米国海軍と海上自衛隊 (中公新書) [新書]

阿川 尚之
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

ブックレビュー社

海の友情 米国海軍と海上自衛隊
米国潜水艦事故で日米関係の錯綜した今、時宜を得て現れた本だ。

 何者かに導かれつつ書き進んだと著者は語る。扱う物語はまるで本歌取り、登場する語り部も偶然から出会い松明たいまつを受け渡してきた人々で、ここに著者の手で活字に定着されるまで、ストーリーは1本の糸で織られでもしていたかと思わせる。

 湾岸戦争後中東に赴いた海上自衛隊の知られざる活動を描く本書大団円は、NHKの人気番組「プロジェクトX」数回分の感動を呼ぶと言ったらいいだろうか。この挿話には伏線がある。朝鮮戦時米軍の要請で出動した日本掃海部隊を巡る話がそれである。

 封印されてきた史実を闇から発掘した米国海軍将校が、本書の狂言回しである。後、昭和天皇が井上成美に贈ったカフスボタンを身につけ米国政府勲章授与式に臨むこととなるこの男が見いだしたものこそ本書の主題で、それは熾烈に戦い合った男たちを結ぶ「海の友情」、背筋を伸ばした人同士をつないだ畏敬の念にほかならない。

 戦後まだ10年と経ない頃、海上自衛隊の創設からその初期にかけての時期に日米双方でどんな人間同士の交流があったか、著者はくだんの米国人将校に導かれつつ初めて明らかにした。それは激しい敵意を敬意に変えていく改心のドラマである。

 米国の首都に立つ硫黄島メモリアルを見、「あのゲッソリと頬の肉を落とした海兵隊の兵士たちの顔にはっとし、それから急に涙が流れてきた」旧日本海軍軍人がいた。像は勝者の凱歌でなく戦いの哀歌を低い声で謳うものだと悟って、この人・内田一臣海上幕僚長の改心は始まる。

 内田やその同僚はまた、戦後の日本にわだかまりを抱いて訪れた米国海軍将校たちを深く感化する。こうして、日米関係を根元で支える無名の人々の強固な交流が生まれた。

 畏敬の念で結ばれた関係は強い。逆に、苦痛を伴う改革を避けてばかりきた昨今の日本人に、米国人(であれ誰であれ)は頭を垂れるに値する人間像を見いだせまい。両国関係の悪化・希釈化はそこに根因がある。と、そんなことを本書は語っていない。しかしおのずと考えさせる力を持つ。

 海の守りにつく男たちの友情を通じてあるべき日本人の姿とは、日米関係とは何か、静かに描破した本だ。作家・阿川弘之氏を持たなければ日本人は旧海軍について無知なまま過ぎただろう。今その息子を得て、知らずに済んではあまりに惜しかっただろう戦後日米の友情がこうして後世に残るのだとは、本書の出現自体因縁めいている。

(日経ビジネス編集委員 谷口  智彦)
(日経ビジネス 2001/05/07 Copyright2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)

日本海軍は、戦場でまみえた相手であるアメリカ海軍に対して、意外なほどの尊敬と共感を抱いていた。それは、戦後の海上自衛隊にも脈々と受け継がれ、彼らの協働態勢が、日米同盟を基底で支えてきた。本書は、日米関係の中で特異な地位を占めるこの海の絆を軸にしながら、帝国海軍の英雄たちと異なり、ひたすら訓練に励み、戦うことなく名も知られぬまま去った海上自衛隊指揮官たちの誇り高き姿を綴るものである。

登録情報

  • 新書: 303ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2001/02)
  • ISBN-10: 4121015746
  • ISBN-13: 978-4121015747
  • 発売日: 2001/02
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 知る者は語らず, 2001/4/21
レビュー対象商品: 海の友情―米国海軍と海上自衛隊 (中公新書) (新書)
知らぬ者が語ることの多い世の中にあってなお、SilentNavyの伝統を受け継ぎ、地道に職務を遂行している海上自衛官と、海の王者‐米国海軍軍人との永年にわたる結びつきに光を当てた好著。やはり組織は人であり、人材の育成を惜しんではならないと思わされる。著者の他の作品同様、読後に清涼感を感じる。
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23 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 日米同盟の基礎は友情だった, 2001/5/27
レビュー対象商品: 海の友情―米国海軍と海上自衛隊 (中公新書) (新書)
長い間日本では、悲惨な敗戦という体験から、そして憲法9条の呪縛から、軍備あるいは防衛を語ることはタブーであった。

しかし、現実には、朝鮮戦争勃発以来、冷戦終結後の今日に至るまで、あらゆる意味で日本の防衛、そして太平洋地域の安全保障は日本の生存のためには最重要な事柄でありつづけた。単に、日本人がそのことに触れたがらなかっただけなのではないだろうか。

日米安保体制、日米同盟という良好な関係が実は、連綿と続いていたことが、戦後の日本の平和に如何に貢献してきたかは、寧ろ、冷戦終結後の現在だからこそ、国民全体は冷静に理解を示し始めている。

この強固な日米同盟関係を支えてきたのは、実は、一度は太平洋で戦った、日米の海軍とそれを引き継いだ、米海軍と海上自衛隊の人々の深い友情があったからだと本書は説く。

このような友情がどのように芽生え、どのように育まれて継続されてきたのかを、実に丹念に資料を紐解き、又、インタビューを重ねてまとめた本書は、中々重厚だ。

友情は無私の交流と、相互の理解が不可欠だ。海の友情によって支えられてきたこの日米の友情関係が、政治レベル、国民レベルで広がることを大いに期待したいものだ。

ところで、著者の実父はあの、海軍をテーマにした著作で有名な阿川弘之だが、その子息が、同じく海をテーマにしてしっかり重厚な著作を行ったことは、何とも嬉しい思いがする。

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20 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 海へのロマン溢れる好著, 2002/9/11
レビュー対象商品: 海の友情―米国海軍と海上自衛隊 (中公新書) (新書)
父親の阿川弘之氏と同様、著者の海上自衛隊に対する熱い想いが爽やかに綴られている。本書を読み、米海軍と海上自衛隊との間にこんなにも深い交流と絆があったのかと驚かされる。そして、両者の間には単なるfriendshipではなくて、軍隊として相互の敬意を勝ち得ることが必要であり、事実、海上自衛隊は志気と練度に置いて米海軍から敬意を得るに足る存在であると認識されていると知り、心強く思った。時あたかも、インド洋で海上自衛隊が米海軍に対する支援活動を行っているが、こうした貢献を通じて両者の絆は益々深まっていくのだろう。
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