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海に沈んだ町
 
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海に沈んだ町 [単行本]

三崎 亜記 , 白石 ちえこ
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、“生態保存”された最後のニュータウン…喪失、絶望、再生―もう一人の“私”が紡いでゆく、滑稽で哀しくて、少しだけ切ない九つの物語。『失われた町』『刻まれない明日』に連なる“町”を、気鋭の写真家との奇跡的なコラボレーションで描く連作短篇集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

三崎 亜記
1970年、福岡県生まれ。熊本大学卒業。2004年に『となり町戦争』で第17回小説すばる新人賞を受賞しデビュー

白石 ちえこ
神奈川県横須賀市生まれ。旅の撮影の中で、日常に潜む小さな記憶の断片を追う。「日本カメラ」「アサヒカメラ」に作品発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 234ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2011/01)
  • ISBN-10: 4022508329
  • ISBN-13: 978-4022508324
  • 発売日: 2011/01
  • 商品の寸法: 19 x 13.4 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 188,671位 (本のベストセラーを見る)
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By INAVI トップ1000レビュアー
本書について、帯やレビューの中で作者の過去の作品とのつながりを指摘するものがあるが、大して意味のあることではない。
作者の「町」というテーマ・対象への強い意識、また現実世界とは異なる設定や事象をクロスオーバーさせる手法は、作者の多くの作品に通底するものだから、今更言うには及ばない。

本作品が過去の作品と大きく外形的に違う点は2点で、一つは登場人物や場所が繋がらない短編集であること、もう一つは写真とのコラボレーションであること。そして、この相違は、本作品の描く内容・テーマ自体が、過去の作品からスピンオフしていることとつながってくる。
すなわち、過去の作品においては、「町」という空間・時間・生活する者・物を広く抱える存在を大きく取扱いつつ、その中で、そこに暮らす登場人物を描きこんでいくという共通手法があり、そこに現実世界とは異なる設定や事象を置いていくことで、逆に登場人物の心理が読者に深く伝わってきていた。異世界的な事象はあくまで背景や設定であって、それと現実の対比がテーマではなかった。
しかし、本作品では、そうした異世界的な設定や事象そのものが中心に置かれており、多くの登場人物は狂言回し的な存在でしかない。古典的なショートショートを彷彿とさせる「巣箱」や怪異譚的な「四時八分」はその最たるところである。また、「ペア」や「海に沈んだ町」ではその事象が何を意味するのか(何かの比喩なのか?単なる変事象なのか?)も定かでない。そして、これまでの作品で作者が慎重に回避してきた現実世界とのシンクロが「ニュータウン」では大きな踏み出しとなっているようにも感じられる。浅く読むなら、「ニュータウン」は現実世界の政治・社会への露骨な批判でしかないからだ。

こうした三崎ワールドの中心から、スピンオフ的に個々に切り出された各短編は、写真によって現実世界と異世界との境界をまたぐような存在感を付与され、叙事・叙景から強い存在感を示す仕上がりとなっている。

今回の作者の挑戦を私は5つ☆をもって評価したいが、自分の評価内容が的を射ているのか不安ではある。

こうした叙景を現実の「町」を深く鋭く洞察してきた作者が行なったからこそ、「海に沈んだ町」と「団地船」で起きたことがまさに311で現実に起き、「ニュータウン」の後味の悪い結末がどうしても311の起きた町々と被るように感じられる。
それは外形的に似ているという単純なものではないようにも思う。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By teeakira VINE™ メンバー
やはり三崎亜記の世界。
その世界をつなぐ連作短編。
次の物語のために、
前の物語の中に、
必ず次のキーワードが語られているところも、
遊び心にあふれた仕掛け。

淡々とした描写の中にも、
浮き彫りになる、
人と人との関係。
描かれているのは、
どんな時代、どんな世界でも、
人を信じるのは難しいし、
人を愛するのは尊い。
しかし、
それを貫くのは、なんとも切ない。

時々、
性別が分からなくなる。
わざとぼかしているのだろうが、
それによって、物語に奥行きが出ている。

一見突拍子もない似て非なる町の世界。
独特の世界観によって、
現実世界とのギャップを感じずにはいられない。
失いたくないものは、だれでも同じなんだと思いました。
このレビューは参考になりましたか?
1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By CatFish
帯には「失われた町」「刻まれない明日」に連なる作品とありますが
あくまでも「廃墟建築士」「鼓笛隊の襲来」の方に連なる連作短編です。
三崎亜紀のメガネを通して見る世界は
私たちが知っている世界と、少しズレています。
最初は、笑っていられる程度のズレですが、
不図、足元を見て見ると
あるはずの地面が失われていることに気がつきます。
ハッとしたところで、
夢から目覚めるように現実に戻されます。
戻ってきた来た世界は、メガネを通してみる前の普通の世界。
ただ、何かが違う。ほんの些細ですが、決定的な何かが・・・。
今回も、そうした物語が続きます。
それでいて、どの作品も
とても壊れやすいガラス細工のように
両手でそっと包み込みたくなるような
切なさと、哀しさと、温かさに満ちています。
今回も、三崎ワールドは健在。
オススメです。
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