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海に帰る日 (新潮クレスト・ブックス)
 
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海に帰る日 (新潮クレスト・ブックス) [単行本]

ジョン バンヴィル , John Banville , 村松 潔
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

最愛の妻を失った老美術史家が、遠い日の記憶に引き寄せられるように、海辺の町へと向かう。あの夏の日、双子の弟とともに海に消えた少女。謎めいた死の記憶は、亡き妻の思い出と重なり合って彼を翻弄する。荒々しく美しい、海のように――。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』をおさえてブッカー賞を受賞した傑作長篇。

内容(「BOOK」データベースより)

最愛の妻を失った老美術史家マックス・モーデンは、記憶に引き寄せられるように、小さな海辺の町へと向かう。遠い夏の日、双子の弟とともに海に消えた少女。謎めいた死の記憶は、亡き妻の思い出と重なり合い、彼を翻弄する。荒々しく美しい、あの海のように―。各国の作家に激賞されるアイルランド随一の文章家が綴った、繊細で幻惑的なレクイエム。2005年ブッカー賞受賞作。

登録情報

  • 単行本: 255ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/08)
  • ISBN-10: 4105900617
  • ISBN-13: 978-4105900618
  • 発売日: 2007/08
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.2 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 505,309位 (本のベストセラーを見る)
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形式:単行本|Amazonが確認した購入
語り手であるマックス・モーデンの現在と記憶を、静謐で抑制の効いた文章と、緻密な構成力で互いに織り合わせられた作品です。その中心として存在するものは、幼いマックスが住んでいた海辺の町にある「シーダーの家」です。最も遠い記憶に刻まれている人々は、彼が幼い頃に其処に滞在していたグレース一家、特に美しい母親、娘そして聾唖者の双子の弟。昨今の記憶に刻まれている人々は、病に侵された妻、娘、そしてマックス自身。そして現在、彼は現在から逃避するかのように、「シーダーの家」で記憶に慰安を見出そうとします。──「わたしのボトルはどこにある。わたしには大きな赤ん坊の哺乳瓶が必要なのだ。わたしをなだめてくれるものが」。
しかし、現在の「シーダーの家」においても、彼は慰安を見出すことができません。彼の行為を懐古的で後ろ向きだと非難することは容易いですが、そのようなことはジョン・バンヴィル自身が充分承知していることであり、全ての人間が避け得ない営為ではないでしょうか。現在と過去の間の絶えざる往来、記憶の変容、こういった営為から逃れられる人は一人としていないでしょう。バンヴィルは、作家としての彼の技術を駆使し、現在、過去そして記憶を明瞭に提示することをせず、ある男の生を一枚の画として織ってゆきます。
この作品が文学の歴史に長く残ることはないでしょうし、作家自身もそれを望んではいないでしょう。しかし、アリステア・マクラウドの作品群がそうであるように、ある時代の心象の数々のうちの一つが現れている優れた小品と呼んで良いのではないでしょうか。
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回想 2012/4/6
By osiemu
形式:単行本
 主人公のとりとめのない回想で話が進む。
 様々な時期を行きかう回想が折り重なって、少しずつ全体が見えていく。
 いちばん多く語られるのは表紙に描かれているような子供時代の事だけど、それが美化されきっていなくて妙に生々しい。
 性欲、匂い、不快感、自分にも理由がわからない行動。それらがちゃんと記憶の中に残っている。
 勿論懐古に浸っている部分もあるのだろうが、ただ単純に「あの頃はよかった」と逃避しているようでもない。
 実際にするような回想そのもの、のように思う。
 そして最後まで読んでも、明瞭なストーリーが展開されるわけでもなく、ただ主人公のあっちこっちに飛ぶ回想と現在、結局それだけなのだけど、疲れた初老の男に漂う哀愁が心に残った。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 夢追人009 トップ500レビュアー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
2005年度ブッカー賞受賞作で、アイルランドの類稀なる文章家と激賞される巨匠バンヴィルの繊細且つ静謐な心象風景を綴った慟哭の物語です。妻の癌による死の影を引き摺る老美術史家モーデンは、少年時代の記憶を呼び覚ます為に小さな海辺の町を訪れる。〈シーダーの家〉と呼ばれたかつてのサマーハウスに再び腰を落ち着け、遥か昔に出逢ったグレース一家の思い出に身を委ねる。ミスター・グレースと官能的なグレース夫人、少女クロエと聾唖の少年マイルスの双子の姉弟、子ども達の世話係ローズ。初め女神の降臨の如き夫人の魅力に惹かれるが、気まぐれで何時しか思いは幻滅に変わり、やがて少年の愛は少女クロエへと移る。海辺で過ごすひと夏の幸せな日々の記憶に、数年後にロンドンで出逢った妻と過ごした記憶が割り込んでくる。不意に癌を告知されてからの悟り切った妻と悲しみに沈んで静かに暮らす毎日。モーデンは記憶を掘り起こしながら、人生の意味を幾度も自分自身に問い掛ける。答など出ないと解ってはいても問い掛けずにはいられない。そして記憶は我儘で意地悪な所のあったクロエと弟マイルスに突然降りかかった悲劇の場面へと辿り着く。ある夜酒場で何もかもがどうでも良くなって泥酔し暴れまわり醜態をさらしてしまう。人は抗い難い運命に翻弄されて自分を見失い自暴自棄に陥る事がある。私には彼を非難する気にはなれませんし、人としての弱味を見せる彼の心情は痛い程理解出来ます。彼にとっては心中でもう一度悲しみと甘美さが同居する出来事を洗い浚い再構成する必要があったのだと思います。周囲に対して心を閉ざす男に、娘のクレアや滞在客の大佐や管理人で嘗ての世話係ローズのミスVはそっと助けの手を差し伸べます。願わくば物語の続きで彼が悪態を吐きながらも周囲の人々の暖かい気遣いに触れて感謝し新たに生きる道を見出して行く事を祈ります。
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