今回のテーマはずばり「宇宙」。
今まで「海」をテーマに楽曲を制作してきた太平洋ベルトだが、
今回は今までとは比べ物にならないほどの大海、銀河へと舵をとったようだ。
やはりというか、キャッチーさにおいては1stアルバム、海っ子NOW!1収録の「渚のスイーツメモリー」に
勝る曲はないのだが、その分全体を通しての完成度は高まっている。最初から最後まで聴かせようという
意気込みが非常に強く感じられる。
ひたすら皆でハイテンションに突き進む「東京特許許可局」、星雲の狭間にたゆとう感覚の「星屑シンセサイザー」、
“そして黄泉平坂ローリング”や“燃え上がるプロトタイプのプログラム”などややハードな言葉遊びがどこか
諸星大二郎的怪奇壮大ストーリーをリスナーの脳に紡ぐ、「夢うつつパラダイス」これが個人的には一番のお気に入りだ。
POPな「世界プロモーションビデオ」、“伝説のファンシー暴走族 うさぎちゃんクラブ”というセリフがやたら頭に残る「ファンシー暴走族」
普通だと思ったら急にドスの利いたボーカルに交代する「素敵な人」、ミドルテンポな「STUDIOVOICE」、「ポリポリポリス」
「ヤンヤン叫ぶスタジオ」が続き、そこから突如不穏な出だしで始まる「魔王」は、学校で習ったあの曲とは全く関係ない。
どことなく子供向けアニメの憎めない悪役のテーマソングを想起させる。
その後は再びスローな「科学と学習」こういったモチーフ選びと曲名センスが本当に彼ららしい。
最後に「おにぎり」
バカバカしい曲だが楽しい。
全体として打ち込みも健在なものの、やはりバンドメンバーを揃えたため生演奏の音が目立つ。
かなりかっこいい間奏も聴けるようになった。ロックとして正統な音づくりに傾いたと思う。
曲もたっぷり収録、ブックレットも読みごたえ十分なので3000円は決して高くないと思う。
メタルやハードコアもいいが、“ファンシー”なロックもまた、ゆるゆるしたい気分には打ってつけだと思う。