日記……それも長屋住まいの女房の視点で書かれた物というものだけあって、様々な長屋の生活風景が事細かに描かれておりました。
加えて、お葛の思いまでもが書かれている所が非常に嬉しい!!
まともに働こうとしない亭主の尻を叩きつつ、日々の生計に苦慮する。
年末の掛け取りや月末の支払いに冷や冷やしたり、仕入れた商品が売れずに困ってしまったり……そうかと思えば新しい新製品が当たりに当たって大繁盛。
子供達が元気に育って欲しいという思いを持ちながらも、他人様に迷惑は掛けてはならないとしつけには厳しい。そうかと思えば、手習いの成績が悪いことに子供の将来を不安視するといった心配の種も抱えていたりします。
(これだけ成績が悪いんじゃ医者にでもなるしかない!なんて嘆いていいるんですよ?こんな感覚は、現代人の我々には到底考えられない事です!!!)
27歳ともなれば当時では大年増。
本人も娘時代の思いではいられないことを自覚しつつも、小間物屋という職を生かして日々の化粧を意識する辺りはやっぱり女性なんですね。
「都風俗化粧伝」といった化粧指南本を取り出しては近所の娘さんにもいろいろと指導してあげたりするなど、江戸当時の女性の美意識なんかも知ることができました。
尻が大きくなって太ってきてしまうことを気にしている記述が多かったのも面白いです。
江戸においても、太っていることにはマイナスイメージがもたれていたようで
『甘いモノを押さえないと!!』ヽ(`Д')ノ
と言いつつ、近所の女房連中と一緒にいろいろなものをつまんでたりしてます(笑)。
近所の娘盛りのさよちゃん(16)が化粧に夢中で、よくお葛さんに相談しにくるのですが、こういった所なんかは現代の女子高生達となんら変わらぬところですよね。
亭主殿のだらしなさ加減に対し、冷静に突っ込みをいれているお葛さん最高です(笑)。
本当に働かない駄目亭主。たまに働くかと思いきや、悪い結果ばかりになってしまったり……でも人情味がある所はさすがは江戸っ子。小間物屋の使用人である清さんとの最後の別れの所はジーンときてしまった。(つД`)
これ、普通の物語として読んでも面白いと思うよ?
江戸当時の長屋住まいの人たちがどのような生活を送っていたのか?
そしてどのような思いで日々を過ごしていたのか?
もちろん内容をすべて鵜呑みにするということは出来ないけれども、江戸人達の思いを知る上での貴重な一冊として、江戸に興味があるのであれば読んでみて損はないんじゃないかなぁって思います。
現代風にアレンジされていることもあってとても読みやすいです。例えて言うなら、杉浦日向子先生の「百日紅」を日記風に文章化したものっていう感じかな?
読んでいて、とてもワクワクしてしまいました。
あぁ、江戸って本当に楽しそうだなぁ〜って思わせてくれる一冊でしたね。