1979年当時全くの無名の新人だった、リッキー・リー・ジョーンズの完璧な作品。
この作品については、やはりバックを務めるミュージシャンやスタッフ達について紹介せざるを得ないだろう。
ドラム:スティーヴ・ガッド、アンディ・ニューマーク、ヴィクトール・フェルドマン、マーク・ステーヴンス、ジェフリー・ポーカロ
ベース:ウイリー・ウイークス、レッド・カレンダー
ギター:バズィー・フェイトン、フレッド・タケット、リッキー・リー・ジョーンズ
キーボード:ニール・ラーセン、ランディ・カーバー、ラルフ・グリールソン、ヴィクトール・フェルドマン、リッキー・リー・ジョーンズ、マーク・レベンナック
マンドリン:フレッド・タケット
シンセサイザー:ランディ・ニューマン、マイケル・ボディッカー
パーカッション:ヴィクトール・フェルドマン、リッキー・リー・ジョーンズ、マーク・スティーヴンス
ホーン:トム・スコット、チャック・ファインドリー、アーニー・ワッツ
バック・グラウンド・ヴォーカル:リッキー・リー・ジョーンズ、アルノ・ルーカス、レスリー・スミス、ジョー・ツラーノ、マシュー・ヴィエナー、マイケル・マクドナルド
アコーディオン:ニック・デカロ
オーケストラ・アレンジメント:ニック・デカロ、ジョニー・マンデル
ホーン・アレンジ:リッキー・リー・ジョーンズ
プロデュース:レニー・ワロンカー、ラス・タイトルマン
ジャケット写真:ノーマン・シーフ
・・・勢い余ってつい全部書いてしまったが、それくらいに、このアルバム全体の得も言われぬ雰囲気には感動した。意外なアーチストが意外な楽器で参加していることに注目。おそらく70年代のアメリカのウエスト・コースト・ロックに詳しい方ならいくらでも薀蓄を垂れられる参加メンバーだろう。
思うに、泉の如く何度聴いても聴き尽くせない作品とは、きっとこのような作品を呼ぶのだろう。そして才女とは、彼女のような人物を指して言うのだろう。
彼女は声量や歌唱力を売り物にするタイプの歌手ではない。どちらかと言えば、彼女の持ち味とは、速い楽曲よりもブルース系のジャジーなスローバラードが秀逸だ。もって生まれたものなのかわからないが、彼女の醸し出すやや不健康で、コケティッシュ、小悪魔的な歌の魅力は、男心を弄ぶかのようで、どこまでもけだるく、そしていつまでも心地良い。さらに独特の官能性やソウル・フィーリングがあり、それがこの作品を別格的なものにしていることも付け加えなければならないだろう。
もうひとつ・・・ヘッドフォンで聴いていると、バックの演奏(特にリズムセクションとギター、ピアノ)のキレのよさ、オーケストラの盛り上がりの素晴らしさには、耳を疑う。10曲目の「カンパニー」は泣ける名曲である。湿っぽい曲ではないのだが、宵闇に溶けていくようなリッキーの歌と、都会の冷たい夜気を思わせるオーケストラとのマッチングが絶妙である。
決して誰彼にもすすめられる作品ではないが、秋の夜長にムーディかつジャジーな女性ヴォーカルをじっくり堪能したい方には、強力におすすめします。