著者の佐野宏明さんが収集してきた素晴らしい広告資料、ラベル、パッケージ等が掲載された本です。本書掲載の分だけでも1000点という膨大なコレクションで、その質の高さはオールカラーのどのページを見ても伝わってくるでしょう。
書かれているように「明治から昭和初期に掛けての商業美術の変遷を俯瞰することで、文化史、デザイン史を検証できる貴重な資料になるのではないかと考えた」という思いが伝わってきました。見てて飽きない上質のコレクションですし、価値ある出版だと評価します。
第1章の貿易図案の外国商館のラベルは、外国人デザイナーが浮世絵を参考にして考案したようで、まさしく一級の作品といえる質の高さを感じます。「そのデザインはその後の日本の近代商業デザインにも少なからず影響を与えている」という記述は同感です。外国から見た東洋や日本のイメージが写し取られており、我々が見ても「不思議の国日本」という異国情緒あふれる図案を眺めているだけでワクワクします。全く見飽きません。
次は、「明治から昭和初期にかけての日本の輸出商品の代表」であった生糸のラベルを紹介しています。郡是製糸(現グンゼ)の商標もあり、世界を相手に日本のイメージを伝える工夫がそのデザインに表れています。
昔は、喫茶店のマッチを集めたことがありましたが、本書の燐票ははるか明治の頃のもので、個性があり凝った意匠は、復刻したら人気が出るだろうという図案が展開してありました。
その他は、項目を紹介するにとどめます。第2章 トイレタリー(化粧品、石鹸、洗粉、歯磨、月経帯、パウダー)、第3章 薬品(売薬、薬種、肥料、蚊取線香、樟脳)、第4章 食品・嗜好品(飲料、煙草、お菓子、食料品、調味料)、第5章 繊維・日用品(繊維、文具、娯楽品、百貨店)、参考文献、年表