戦前、この頭山満の名前を知らない者はいなかった。明治、大正、昭和と薩長藩閥政府の監視役として在野から政治指導をしていた人物だが、右翼の源流、右翼の大物、大陸浪人の元締め、ときに無理解な人物からは大陸侵略の手先などと評される。
その頭山満の生涯を描いたものだが、特に国内の政治に特化した内容となっている。頭山満はアジアの植民地解放を押し進めていたが、その代表的なものが孫文の辛亥革命である。欧米に侵略されて半植民地の状態でも政治改革が行なわれない中国で、漢民族の孫文が立ち上がった革命が辛亥革命だが、その孫文を生涯支援していた。
この頭山満が現代にまで知られていないのは、日本の敗戦後、占領軍による占領政策によるものだが、もう、いいかげん、捏造された連合軍の歴史を塗り替えても良いのではと思う。アジアを侵略した欧米が植民地解放を進めた頭山満を糾弾するために悪人に仕立て上げたのだが、国益の名のもとに事実を変えるのは欧米の常套手段である。
本書は好意的に頭山満を描いているが、それでも、著者は全てを理解して書いたのか疑問が残るところがある。それでも、頭山満という人物の概略を知るには適している。