メディアで積極的に発言されている著者を理解したいと思い本書に出会ったが、ロジックを組み立てて結論に至るというより、「筆者の頭の中に〜という言葉が浮かんだ」という様に、比較的感性で書かれていることが多く、読み手として納得感を持って著者の考えを追うことに難しさを感じた。
「経済活動は三角形だ。筆者は、常々そう考えてきた」、具体的には「成長・競争・分配」、「地球・国家・地域」、「ヒト・モノ・カネ」だと。でも、何故四角形でなく三角形なのか、何故「成長・競争・分配」という切り口が正しく「成熟・調和・蓄積」という概念は正しくないのか等の説明はない。
でも、ロジックの展開に不自然さがあったとしても、主張自身は多くの方が言葉を変えて伝えている内容なので、何となく理解できる。
本書の結論は、「グローバル資本主義」ではなく「グローバル市民主義」が大切で、「21世紀型市民革命」に期待したいというもの。でも、それを実現する為の具体的なロードマップの記載はない。みんなで考え、やれば出来るだろうという精神論に近い内容。
そして、著者が伝えたいことは、「誰もがみんな一人ぼっち」になっていて、グローバルスタンダード至上主義の下で画一的なルールで競争し、強者が一人勝ちしていく様な社会に現在はある。でも、強者といえども一人では生きて行けず、さまざまな事柄を共有・共感すれば解決できる問題は多い。そして、画一的なルールの下でなく多様性を持って生きて行った方が幸せである。その様な「地球時代の経済人」となるべきで、「僕富論」でなく「君富論」として生きて行った方が、結局多くの人が幸せになるというもの。
前述の通り、おぼろげには著者の考えは判るのですが、新書といえども、もっと、もっとロジックを掘下げて、納得感の高いものに仕上げて頂けたら、読後感はさらに良かったと思います。