『流線形’80』の発売は1978年11月でした。1980年代の音楽シーンを先取りするようなポップなアルバムに仕上がりました。
どの曲もシングルカットできるほどの完成度で、荒井由実時代の明るさに加え、より軽快さや物語性も加味し、アレンジの華やかさを加えた作品で、松任谷由実時代初期の傑作として今も語り継がれる名盤と言えるでしょう。
冒頭の「ロッヂで待つクリスマス」、「真冬のサーファー」等は、2年後の『SURF & SNOW』のアルバム・コンセプトの先駆けになったような曲です。
「埠頭を渡る風」、「キャサリン」は今でもよく歌われる曲ですね。目の前に情景がくっきりと浮かび上がるような視覚に訴える歌詞は秀逸で、印象的で感傷的なフレーズを持ったメロディの素晴らしさは、他のアーティストの追従を許さない完成度を誇っていました。
冬の淋しい情景を歌いこんだ「かんらん車」の情感豊かな世界もまたユーミンの感性の豊かさを表わした曲だといえるでしょう。松任谷正降のアレンジも静かで密やかな雰囲気を醸し出し、上質のサウンドを提供していますね。
そしてラストの歌詞が衝撃的な「12階のこいびと」も忘れられない1曲です。
時に、ユーミン24歳。まさしく「天才」という名に相応しいアルバムを世に輩出したと思っています。