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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
止まらなくなります,
By Keicy (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 流沙の塔〈下〉 (朝日文庫) (文庫)
中国の歴史、そして、民族問題、果てはタリバンまで出てきて、著者が執筆当時にこのような背景を詳細に取材して作品を仕上げたことに驚きを感じます。小説ではありますが、ノンフィクションのような気がしてしまうのはさすが。 そして、色んな土地・色んな人物が徐々にからみあって描写されていくのに引き込まれて止まらなくなります。。
5つ星のうち 4.0
持続する「酷」なサスペンス,
By udauda (定峰) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 流沙の塔〈下〉 (徳間文庫) (文庫)
経済の開放は人間の欲望を解き放つ。それまで抑圧されてきた側の欲望はもとより、抑圧してきた側の欲望まで歯止めなく増殖させる。本書に描かれた公安幹部の唯我独尊的な腐敗がまさにそうだ。「反革命」と唱えればすべてが断罪可能という歴史は、「革命的」な国であればこそ繰り返すことをやめない。「気の遠くなるような量の漢人たちを送り込み、このウィグル人の土地を取りあげようとしておる」と、ある登場人物は言う。まさにそれが国内の他民族に対する中国(漢民族)政府の方針であり、チベットを背景にした谷甲州の著作と比較してもおもしろい。ここで優劣を問うことはやめておくが、読後に天を仰ぎたくなるような、あの甲州特有の哀感はなく、あくまでも「酷」(中国語で「クール」を意味する)に描き上げるのが船戸節なのだ。 絶対的な権力は絶対的に腐敗する。言わずと知れたテーゼである。しかし権力の打倒と奪取を計る解放組織が同類だとすればどうだろう。「ソビエト連邦が潰れてから、世界中の解放組織は闘争資金を麻薬に頼るようになった。(・・・)解放を名乗る政治・軍事組織が犯罪組織と何ら変わらなくなっていく」。この言葉は限りなく重い。 本書に書かれたイスラーム党内部の原理主義者と民族主義者の対立について驚く必要はない。世界宗教を目指すものは定義上、国境を越えたグローバルな志向を持つゆえに民族主義的な志向とは相容れないのであって、両者の共存は便宜的な仮構に過ぎない。世俗政党・バース党の党首でもあったフセイン元大統領が、アメリカとの戦いでことさらイスラームを強調したのは戦略上の虚構に過ぎないのだ。 係争地・紛争地ばかりに固執する性癖をマルロー・コンプレックスと呼ぶとすれば、船戸与一もまた「船戸コンプレックス」に凝り固まっていて、新疆ウィグル自治区を背景にしようと、構えは他の著作とちっとも変わらずに健在。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
船戸作品としては彫り込み不足感あり,
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レビュー対象商品: 流沙の塔〈下〉 (朝日文庫) (文庫)
出す作品ひとつひとつが重厚な船戸作品を知っている身としては、本作はどうも点数は辛くならざるを得ない。中国ウイグルは、エキゾティックな船戸ワールドの舞台として申し分ない。中国公安局、香港返還をめぐる中国軍内部の暗闘・勢力争い、中国公安局、客家、少数民族問題・・・・材料は集まった、いつものドロドロとした展開を予想させる顔ぶれ・・・ が、ここまで・・・。船戸作品恒例のラストへの疾走するような展開の始まりをいまやいまやと待っているうちにアレ?っとばかりの救いようがない結末・・・ 進行する陰謀の全体をつかみきれないまま主人公は状況に振り回し。結局ストーリーの主導権は主要登場人物とは異なる部分で動いていき、動かしようがない強権の中で押しつぶされていく・・・。全体に不完全燃焼感が強く、不満足・・・
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