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永田の家庭は崩壊寸前。妻の美代子はテレクラで男と不倫を重ね、息子の広樹は中学受験に失敗し家庭内暴力をふるう。永田自身も会社からリストラされ、小遣いほしさに、ガンで余命いくばくもない父親を訪ねていくようになっていた。「死にたい」と漠然と考えていたとき、永田は橋本親子に出会ったのだ。橋本は彼に、自分たちは死者だと告げると、「たいせつな場所」へ連れて行くといった。そして、まるでタイムマシーンのように、永田を過去へといざなう。
小説の設定は、冒頭から荒唐無稽である。幽霊がクルマを運転し、主人公たちと会話する。ワゴン車は過去と現在とを自由に往来できるし、死に際の父親が主人公と同年齢で登場し、ともに行動したりするのだ。
過去にさかのぼるたびに、永田は美代子や広樹がつまづいてしまったきっかけを知ることになる。何とかしなければと思いながらも、2人にうまく救いの手を差し伸べられない永田。小説の非現実的な設定と比べて、永田と家族のすれ違いと衝突の様子は、いたくシビアで生々しい。
永田は時空を越えて、苦しみながらも毅然と家族の問題解決に体当たりしていく。その結果はけっきょくのところ、家族が置かれた状況のささいな改善にとどまるだけでしかない。それでも死にたがっていた男は、その現実をしっかりと認識し生きていこうとする。「僕たちはここから始めるしかない」という言葉を胸に刻んで。(文月 達) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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12 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
三世代の立場,
By 滋賀のドラニコフ (滋賀県愛知郡) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 流星ワゴン (講談社文庫) (文庫)
もし、同じ年の父親が目の前に現れたら、貴方はどうしますか?
父親の存在は、あるときは尊敬、あるときは憎悪。 親っていうのは、子の事をこういう風に考えているのか。 男は不器用だから、伝えたいことが伝えたり時に伝えきれずにいるのか。 父と子、祖父と孫、言葉や心情の強弱。 いまや幼少期の親と自分との関係を考えさせてくれます。 特に後半、心うたれる一作です。
18 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
負け組でも、生きていく,
By
レビュー対象商品: 流星ワゴン (講談社文庫) (文庫)
重松清は、徹底的に社会的弱者の現実を描く。題材は常に「精神的負け組」だ。 この作品の主人公のように、あからさまな負け組(=失業、金銭的逼迫)もいれば、 一見勝ち組に見えるのに(=学歴があり、一流企業に勤める、など)、コンプレックスに苦しみ、育児に苦しみ、人生の残酷に打ちひしがれる「潜在負け組」もいる。 負けて、とことん打ちのめされた人間が、再生できるのか。 救いはあるのか。 重松は現実の残酷を示しつつ、それでも 「救いは、どんなにわずかでも、必ずある」と小説で言う。 「完全なる絶望をするな。絶望の一歩手前で、 少しでいい、息を吸ってくれ」 それが重松作品に一貫して流れる温かい血である。
16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ファンタジーなのにリアルに心に響く物語,
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レビュー対象商品: 流星ワゴン (単行本)
私は女だし父はピンピンしているけど
なぜかすごく共感できて じんと心に沈み込む物語だった。 ファンタジーだ。だけどリアルだった。 過去を振り返ってもどんなに後悔しても変えることはできないし、 現在もまたしかりだけど、 主人公・永田一雄のように「流星ワゴン」を降りた読み手自身が 一番心の変化を感じるのではないだろうか。 ベタだけど、もっと今を大切に生きること、 もっと家族や周りのことに目を向けることが 大事だということに気付くのではないだろうか。 ★ひとつ欠けたのは、一雄の妻の行動は理解できなかったから。 彼女のような行動にでてしまう、そういう病気の人もいるんだろうか。 そのあたりが男性が書いた小説っぽいよな、なんてちょっと気持ちが しらけてしまうところだったのだ。
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