東野圭吾作「流星の絆」という原作枠に収まらないで、ミステリーを根底に想像力と創造力が加わって、重苦しさだけに終わらず、爽やかさの残る絶妙な味わいのドラマだと感じた。
人物の心の動きを、鮮やかに楽しく、ときにシリアスに、丁寧に描いたクドカンの脚本もいいし、それを余すところなく繊細に表現した俳優さんたちの演技も素晴らしい。
子役を含めアリアケ3兄妹、他のキャスティングも全て良かったけど、やはり二宮和也さんがいいと思った。
見ているだけで、彼がその役柄として生きている世界が確かに存在していて、すぐ目の前に続いている気がしてくる。
主役であっても、目立つような派手な振る舞いはせず、むしろ周囲の人の演技や雰囲気を引き立ててその場の空気感を作り出すような、頭の良さ(天性の才能?)を感じさせる。
だから、特別過酷な過去を持つ兄妹の話ではあるけれど、可哀想というより、仲がいいな、いいおニィだな、本当の絆があるんだな、と暖かな愛情が羨ましく思えた。
それがあるから、人を騙すという悪行も、ユニークで、程度によって許せる気がしたものだ。
残念なことに、放映当時は、明るいコメディ風の部分が多く、犯人探し=復讐という重大なテーマとのギャップを感じて幻滅し、見るのを止めた人(特に原作ファン)が少なくないと思う。
まず、「不幸な境遇は、悩み苦しんで悲しみの中に溺れるような特異な人生をもたらす」という先入観や偏見を取り払って、全編を見直してみて欲しい。
内容に触れるので詳細は書かないが、原作にはないハッとさせるような言葉(セリフ)が随所に散りばめられていて、リアルさに胸を打たれたり、絶望や希望を感じたり、それぞれの人物の人間的な心情に深く同調できるだろう。
結末がわかっているのに何度も繰り返して読みたくなる本は、数は少ないのだけど、誰しも、お気に入りとして思い出し、ページを繰るたびに感動を呼び覚まさせるものだと思う。
このドラマは、多くの人の心にそのような存在であり続けると思う。