「自伝的小説」というのは、どう読めばいいのだろう。
少なくとも「私小説」とは違うのであろう、ことは僕にもわかる。
小林氏の父は日本橋で九代続く和菓子屋の主人で坊ちゃんである。
職人の中に入って自分も和菓子作りを覚えようとすることはない。
いわゆる資本家である。
小林の母は、青山一丁目付近に300坪の土地を持ち、歯科の治療椅子
をつくる工場を経営する社長である。当時の青山は今のような高級街
とはいえ、資産家である。沖電気の技術者で役員まで勤めている。
震災で店を失った小林氏の父は、妻の父の家で、徴用逃れのために
事務員をしている。
この小説は、小林氏の母方の祖父と、信彦少年の交流を書いた物である。
私は小林信彦という作家が好きだから、この本を読むが、
「自伝的小説」というのは、どう読めばいいのだろう。