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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
パラダイス・ロスト in 洲崎,
By 淑 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 洲崎パラダイス 赤信号 [DVD] (DVD)
敗戦直後の混乱をようやくくぐりぬけた昭和30年代。高度経済成長へと駆け上がってゆく世間をよそに、洲崎弁天町あたりをうろうろしている一組の男女。その夜、ゆくあてもないままたどりついた飲み屋の二階で体を交わす二人。橋の向こうにはパラダイスと名づけられた町。そして雨が降ってくる…。荒んだ美しさを放つメロドラマです。混乱した世相のなか恋に落ちたらしい二人。しかし野蛮な力に満ちた時代は失われてしまい、彼等もお互いへの失望を隠しきれない。去ってしまった黄金時代を懐かしんで「パラダイス」の入り口あたりをグダグダし続ける二人。放浪と無所有への憧れ・お互いへの憐れみと欲望・敗滅への密かな期待…。「勝ち組」の側へ回りたくて見苦しくジタバタしている昨今の日本人が失ってしまったイノセンスを、川島雄三監督は見事に映像化しています。 そして音楽が素晴らしい。どうしようもないところへ追いつめられている二人の焦燥・ヤケクソ・官能の昂ぶりを余すところなく表現した音楽が、まだこの当時、背の低い建物ばかりで妙に広い東京の夕焼け空に流れる…。甘美な映画です。
21 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
切れそで切れない男女の妙,
By 店長候補 (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 洲崎パラダイス 赤信号 [DVD] (DVD)
男と女の腐れ縁、を描いた邦画としては名作と名高い成瀬巳喜男 監督の「浮雲」がありますが、「浮雲」が重く、暗く、なんとも救われない気持ちになるのに比べると、こちらは軽く、憎めず、しかしながら味わいのある作品となっています。特別劇的な展開のあるわけでもないので一度観ただけでは、強い印象は残らないかもわかりませんが、後で思い返すと、爽やかさにも似た独特の後味がじわっと湧いてきます。川島雄三監督といえば、「幕末太陽傳」が代表作で近年再評価されていますが、監督自身もこの「洲崎パラダイス」が一番のお気に入りだそうです。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
心地好い男女の沙汰,
By Van Damme (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 洲崎パラダイス 赤信号 [DVD] (DVD)
今で言う木場とか東陽町辺りにあったらしい遊郭「洲崎パラダイス」。本作は、そこへ文無しで流れ着いた男女の沙汰を描いた人情劇で、監督は近年再評価著しい川島雄三。一見古い映画にありがちなストーリーなんだけど、その運び方が軽快で心地好く、水辺の情景が何とも言えない余韻を残す素晴らしい作品だった。うだつの上がらない男に愛想を尽かし、飲み屋でつかまえた上客と仲良くなるとすぐに仕事を辞めてホイホイついて行く女。そんな女に未練たらたらで、せっかく紹介してもらったそば屋の仕事も放り出して雨の中女を探しに行く男。二人とも文章で表すとどうしようもないんだけど、どこか憎めないキャラをしている。 そして、そんな男女の沙汰に呆れながらも、それがこの町の掟とでも言うかのように後腐れなく接し、自身も何年も前に女と消えた旦那の帰りを待っている飲み屋のママさんがいい味出し、売上金をくすねてしまうような駄目男を健気に見守るそば屋の女の子が物語に彩りを添える。 女に逃げられた男は、このそば屋の女の子の支えもあってか見違えるようにマジメに働き出すんだけど、そこに女が戻ってきて物語は急展開を迎える。ラストは傍から見たら「おいおいおい」の連続なわけだけど、その「おいおいおい」にこそ、男女の色恋は集約されているのかもしれない。2人からしてみたら観客のそんな視線なんてどーでもいいのだ。そこには2人にしか分からない共通理解があり、無いなら無いなりに了解事項がある。 「おいおいおい」と思いつつ、そんな気持ちでラストシーンを見ていたら、何だかとても清々しく、心地好く感じられた。
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