なつめは、ちょっとKYな女の子で、鈍感だが一生懸命、ドジなのに自信たっぷり、厭味を言われてもへこたれず、自分の気持ちに素直にどんな時にもまっすぐにぶつかっていくヒロインは、つい応援したくなるほどキュート。そんな役柄に蒼井優はぴったり。
物語はいつしか、すれ違った男女のラブストーリーではなく、ケーキ作りの修行に励む若い女性の奮闘記になっていく。そこに、ある事情から“人を幸せにするケーキ”が作れなくなった元天才パティシエの再生物語や、経営危機に追い込まれたコアンドルの起死回生の勝負がからむ。
その展開は悪くないです。
美味しい食べ物やスイーツが人を幸せな気持ちにするというのは本当だと思います。でも、主人公のなつめにケーキ作りの才能があるのかどうかがはっきりしないことと、彼女と、コアンドルの店主や十村との絆を描ききれてない。お菓子作りの基礎があるとはいえ、お客を魅了するケーキを作りだすのは簡単ではないはず。頑張っている姿だけでなく、彼女に強いインスピレーションを与えるエピソードが欲しかった。ただ、がむしゃらに頑張り、コアンドルを守ろうとするなつめの奮闘に、閉ざされた十村の心が次第に開かれる展開は、説得力のあるものでした。
怒っているときの表情や、泣き顔、微笑みなどがすべて、なつめという女の子がそのように感じているからしている表情っていう感じがするんですよね。蒼井優は、そんななつめにぴったりの配役であったと思います。当然、演技なわけなのですが、演技っていうのを越えちゃっているように見せるというのが、蒼井優という女優のすごさなのかもしれません。また、なつめに冷たく接する先輩役の江口のりこが上手かった。