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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
大好きな作品です!,
By かほり (地方) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 泥棒日記 (新潮文庫) (文庫)
ポジティブシンキング全盛の現代では評価されないような、ネガティブな作品。 彼は徹底的に自分自身を蔑んでいるのですが、 しかしその蔑みの視点から 見える彼の「個」としての尊厳の輝きの美しさ、 世間から疎まれる存在であることに 妥協しない彼の心の高潔さって言ったらないですよ! 彼の人生の真実は苦しいものなのですが、 しかしそれを生きる(否が応でも生きざるを得ない) 彼はとても美しく、勇敢に思えます。 世界は不公平なものであり、誰もが思う通りに 生きられるものではない。 だがそんな世界に完璧に適応することこそが 成功だと言われるような現代の価値観うんざりしている人に おススメです。 また彼の本は実存主義者サルトルにも取り上げられました。 現代の精神医学の視点から見ても、彼の物の見方は 興味深いものだと思います。私は専門家ではありませんが、 彼の自分自身についての描写は、解離性障害の人の 物の見方と似ているのでは?と思います。
29 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人生芸術,
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レビュー対象商品: 泥棒日記 (新潮文庫) (文庫)
ジュネは自分が捨て子であること、犯罪者であること、男娼であること、そして仲間に対してさえ裏切り者であることに誇りを持っている。何故ならコレらは本質的に美しいからだそうである。チンピラのアンチ・テーゼとは次元の違う、発生その物からネガティブであることを強調するという、文学でしか有り得ない芸術形態だ。ジュネの生涯もさることながら、彼の哲学というか生への理念のような物も一般人とはかけ離れている。イヤ、他の文学者や芸術家と比べてさえ、あまりに稀有である。自分の情けなさや、醜悪さ、弱さ、気持ち悪さ、ダメさ、汚さ、というようなネガティブな精神要素を、まるで第三者を評するかのごとく冷静にフェアーに観察し、それを徹底的に暴露する。そして、真に素直な心境というのは、たとえそれが背徳的な非道徳的な物であろうとも、人を傷つけることはなく、むしろヒタスラ共感を招く効果があるようで、それが彼の小説の魅力の基本になっているようにも思われる。実際ジュネの文には「恥」というような感じは少しも含まれてない。 さらに物語を終始覆っている独特の文体が示すように、彼の詩美な文体には(訳者の力量も手伝って)所々ダンテなどを思わせるような古典的で崇高な不陰気が漂い、ただでさえ艶かしいストーリーをいっそう魅惑の妖艶さへと引き上げている。そして同性愛。同性愛をカッコよく描いた文学スタンスってのはこの辺から確立されたのではないかと思われる。もちろん単なる平和な同性愛者ではない。彼が愛する男たちは本質的に「悪」の要素を孕んだ連中なのだ。 ジュネはコクトーによって発見され、サルトルによってその存在を弁護されるが、ジュネ自身は自分の生涯を肯定されることに感謝やなにかをまったく感じなかったそうである。そしてそういったジュネの感性を集結した「泥棒日記」。ジュネはこの作品を逆にサルトルとボーヴォワールに捧げている(半ば皮肉を込めて)。そして作品は日本に紹介され、石川淳、三島由紀夫、坂口安吾といったヤバイ物語を書かせたら指折りの面々に激賞され、その後の作品の翻訳は堀口大學などが手がけていることから見ても、ちょっとこれは純情な騒がれ方ではないということを感じざる得ない。しかし扱っている内容が、内容だけに、どんなに素晴らしい傑作でも表に出して公式の場で賛辞されることはマズ有り得ない。そこがまたアングラっぽくカッコいい。 僕はこの作品にて初めて、ゲイ・カルチャーに羨望を抱きました。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
講釈なんかいらない。面白いもの。,
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レビュー対象商品: 泥棒日記 (新潮文庫) (文庫)
ジュネの文学的位置付けとか、フランス文学の修飾の美学とか、どうもそういう看板に気合負けして未読でした。昔「なしくずしの死」と「さかしま」で自分の感受性のなさを痛感した(いまいち理解できなかった)からってのもありますが。結論から言うと、読みやすかった。そして面白かった。多分、現代文学や漫画を読みなれているひとならそれほど「目新しい」とは感じないと思う。つまりそれだけ影響力が強かったってことだろう。 なんといっても、思考の流れが美しい。ポエジーに関しては理解がないので触れないけれど、どことなく宗教的な美しさを感じた。もっとも、ジュネのいう「価値の逆転」は作品を「発表」したことで、自ら破綻してしまったのではないか、という印象はあるけれど。 主人公の愛する男たちがそれぞれ魅力的で、思想は全く抜きで恋愛譚として読んでも面白いんじゃないかと思う。
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