全4章のうち「雨が世界を冷やす夜」「男友達の部屋」「ほしいもののこと」では、日々の生活のなかで、家族、友人を巻き込みながら起こるできごとを、簡潔で、潔ささえ感じる文章で書いている。ときに読者をも共感の渦の中に引き込んでしまう、そんな現実感もにおわせながら。
最後の章「日ざしの匂いの、仄暗い場所」では、著者の本にまつわる思いを、日記、レビューの形で記している。それぞれのレビューも単なる書評ではなく心に響くエッセイとなっているのは、さすがである。
約10年間という、時の流れの中での環境の変化というのは、刻一刻と姿を変える日々の生活の積み重ねであることを感じさせる。著者も、それを改めて見つめ直すことで自分自身が「泣く大人」になったことを確認している。
著者は「子供は泣かない生き物である」という視点を持ち、その視点が「泣く大人」を生みだす。「泣く大人」は実際に涙を流せる人であり「心から安心してしまえる場所」を持てた人であるという。そして本書には、そうなれたことのうれしさが、ちりばめられている。ストレスなどで、とかく無理をしがちな大人たちに「泣いてもいいんだよ」とエールを送ってくれる、いつでも手の届く所に置いておきたい本である。(望月樹子) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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江國さんの文章はこちらを素直にさせてくれる。共感すれば「そうそう」と喜び、そうでないときは「そうかな、そうかも」と譲歩しちゃったり。知らなかったことには「へぇ」と感心し、考えもしなかったことには「ほぉ」と納得した。どうしてこうも単純に受け入れちゃったのかしら、と不思議な気分。でも、しみじみ幸せな感情が広がった。
で、読み終わってからようやく気づいたこと。彼女は句点の使い方が巧いのだと思う。だから、文章がこちらにしみこんでくるのだ。
お気に入りの一文は、「柳腰」の最後。これに宮沢賢治を連想したのは、私だけだろうか。。。
「男友達の部屋」の章を読んでは、こんな素敵な男友達がいる江國さんがうらやましいと思ったり、そうそうこんな男苦手よねと思ったりしました。
でも私が一番好きな章は「ほしいもののこと」。私のほしいものって一体何だろう、そしてそのために私がしなければいけないことって?そんなことを考えさせてもらいました。
読んでいくうちに苦しいイライラが落ち着きました。ちょっと忘れてたやさしいものとか穏やかなものとか、すてきなものとか、思い出しました。私は何が気に入らないのか、何がほしいのか、少し見えた気がして、そうだあたしもっと「贅沢」に生きることを目指そうって思いました。
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