沢山の兄弟、泣き虫の自分、子供心に楽しい・面白い・悲しい・寂しい・恥ずかしい・腹立たしい。
色んな感情が渦巻く感受性豊かな子ども時代を、「ハァちゃん」という分身でもって回想する本。「こどもの宇宙」や童話の世界を大事にしていた河合隼雄先生の、ほのぼのした日常が穏やかな眼差しで描かれている。
先生が亡くなられ、話は途中で終わっているものの、尻切れとんぼという感じではなく、ちょうどいい所で終わっている絶妙な終わり方。ふと、また続きが始まるような、何気ない別れ方、終わり方も、いかにも先生らしいような気がする。
挿絵も涙が滲んだような、ちょっとはにかんだような水彩で淡々と描かれているのが、何ともいえない雰囲気。坊主頭の少年の笑顔が、晩年の先生の笑顔と重なって見える人も多いだろう。子供の世界、遊びの中に心の世界を求めた河合隼雄の原点を、垣間見たい人にお勧め。