印象的なのは2000年に当時の宮沢蔵相と語った内容。グリーンスパンはアメリカ的な不良債権処理の処方箋を提案したのに対し《宮沢蔵相は、穏やかな笑みを浮かべながら、こういった。「アラン、日本の銀行の問題について、じつに鋭い分析をしてくれた。対策についてだが、それは日本のやり方ではない」》(p.56)という答えが返ってきたそうです。それと同時に日本の年金給付水準は将来維持できないことに関してどう対処するのか?と日本の高官に尋ねたところ《給付水準を下げるし、それは問題にならない、日本人は制度の変更を国益の中で考える、それで十分なのだ、という答えが返ってきた。アメリカの議会や有権者が、ここまで合理的に振る舞うとは想像できない》(p.57)としています。
南米に関しては容赦なし。この地域の経済を停滞させているものはポピュリズムだというんです。《経済的な特権階級が抑圧者とみなされている社会で、社会の行き詰まりに対して、貧困化した大衆が起す反応》が経済的ポピュリズムだ、と。ポピュリストたちは単純な解決策を示せば、差し迫った問題から目をそらせると考え、金利が高くなったら紙幣を刷り、国内に雇用不安が起これば輸入を禁止するなどの単式簿記的な発想でしかものごとに対処できず、政策は早晩うまくいかなくなるので、指導者はカリスマ性だけで生き延びようとする、とか。
《知識が失われることはないのだから、生産性はつねに上昇する》なんて言い回しは好きなんですがね。