この回想録は、当時切羽詰っていた日米交渉を一任された外交官、来栖三郎の回想録です。
氏のこの本の中で最も印象に残ったのは日米交渉中のハル長官らの描写もそうですし、
他にも多くの貴重な証言があるのですが、私は敢えて彼の日本人観をあげたいです。
というのも日清戦争以来、日本軍の軍規は世界でも誉れ高いもので、第一次世界大戦の
ときなど、かつて日本軍よって日露戦争の際に捕虜とされたロシア軍人が日本軍として
戦争に参加したいと来栖ら外交官の元に懇願してきたといいます。
また、この大戦の際に捕虜となったドイツ兵への扱いなども国際的に高い評価を得ました。
私は、戦前日本の地位を築き上げたのは外交官の努力だけでなく、軍規にもあったと思います。
しかし、五・一五事件と二・二六事件を経て日本人のこういった心は失われたと著者はいいます。
同胞である日本人を天誅の名の下に殺戮する彼等青年将校とそれを賞賛した民衆には
もはや武士道精神など失われていたというのです。
この意見は、賛否や是非はともかく、一つの見方としては非常に興味深いものだと思いました。
これからも、本を読む中でこういった斬新な見方を少しでも知る事ができたらと思います。