単行本未収録の、どちらかというと年齢の高い読者むけに描かれた作品集です。この中で私が読んだことのあるのは、「宝石の女」という、背中に麒麟の刺青をいれた、アスパラガスの好きな女性の物語でした。(かなり昔の作品で、この漫画に再会できたのはうれしかったです。)
掲載雑誌もばらばらで、雑誌のカラーにあわせて少しづつ作風も違うのですが、しいて共通項を探すと、心の奥の「闇」の部分から目をそらさずにつきつめていったもの、という感じがします。生きていくうえで、嫌な人や出来事にぶつかったとき心にうまれる闇や、そこに深くかかわる性のこと。 あるいは、究極の深い眠り、どこか「死」にも通じるような、純粋な実存の世界を、漫画に表現しようとする試みなど…。
読むほうも真剣に向き合わないと、作品にうちまかされてしまいそうです。
猫十字社さんの創作の背骨にあるのはこれらの作品なのではないか、という気がします。
星ひとつ減らしてあるのは、こういう作品は人によって好き嫌いがわかれると思うので、「猫十字社さんのほかの作品を好きな人なら誰にでも」すすめられる漫画、かというと、少し違う気がするからです。
(昔、「りかちゃん人形の思い出」という、少女漫画家さんたちのアンソロジー本があったのですが、あの中の猫十字社さんの作品も、できればこの本に収録して欲しかったです。この本全体の雰囲気には少しあわないかもしれませんが、あの漫画がどの単行本にもはいっていなくて、あれはもう読めないのかなあ、ととても残念です。)