アンドレ・ジイドは1947年にノーベル文学賞を受賞したフランス人です。
反ナチ・反ファシズム主義でしられ、敬虔なカトリックであるものの
古くからあるのカトリック道徳・習慣のあり方、
すなわち教会のあり方に疑問を投げかけた作家です。
愛妻とのセックスレス生活の末に、ある男性と同性愛関係を持つなど、
公私共に波乱万丈の人生を歩んでいます。
この「法王庁の抜け穴」でも、教会への批判とも取れる描写が多く、
実際、彼の死後には彼の作品はローマ教皇庁より禁書目録に登録されています。
さて、話の内容ですが、複雑な人間関係によってつながっている人々に起こる
さまざまな事件で構成されています。さながら映画「バベル」のような感じです。
舞台をパリ、ローマ、ナポリと移しながら物語は展開して行きます。
「法王が幽閉された」と言って詐欺を働くもの、そしてそれに翻弄される人々。
そして、偶発的に彼らにおこる殺人事件。
話の展開としてはやや強引なところもありますが、
「重大事件」に巻き込まれた敬虔なカトリック教徒達の心理描写をうまく表現した
100年前(1914年)の名作です。
話の構成・展開ともに優れているので、
作者についての知識や、当時の時代背景などを知らなくても十分楽しめる本だと思います。
お勧めです。