著者は日本の弁護士としては珍しく、弁護士、官僚、学者の三つの仕事を経験しており、弁護士として留学もしている。とくに公取法の専門家として名高い人のようだ。
ただ、そのような華麗な経歴を持つ優れた著者ではあるが、このような一般的な本を書くのに適していたかは疑問である。この三つの職業の特徴についてかなり長いページを割いて解説してあるが、とくに官僚と学者の部分は、「法律家のための」というよりあまりに一般的な解説にとどまっていて、とくに法律家のためになる情報が多いとは思えない。
今後の展望を描く部分では、弁護士の急増に伴い格差・競争の激化を指摘する一方で、学者や官庁に弁護士の活躍する場所が広がっていくというが、これもそれほど目新しい説明でもない。
最後の章において、著者がこれまで三つの職業でどんな体験をしてきたかが語られるが、せっかく貴重な体験をした人なのだから、このような経験に即した形で全体を構成したほうがよかったのではないか。
「キャリア論」などというが、今後の法曹界の展望についての、ごくありきたりの資料を読まされた気分である。