講談社ノベルスの『本格ミステリ07』を改題して文庫化した短編集。
本格ミステリ作家クラブのベスト・セレクションというだけあって、クオリティの高い作品ばかりで面白かった。値段は正直高いが、厚さが23mmくらいあるので内容を考えても損をした気はしない。
巻末の初出一覧を見ると、柳広司『シートン(探偵)動物記』、芦辺拓『裁判員法廷』など、各作家の短編集に既に掲載されている短編も多い。北村薫の「ベッキー」シリーズ、米澤穂信の「古典部」、大倉崇裕「福家刑事」など、人気シリーズも結構ある。
「単著を買うほどのファンじゃないけど、ちょっと読んでみたい」と思っていた作家・シリーズを、1作だけ「お試し」で読めるのがいい。これを読んで面白かったら、後日その作家の本を買ってみる、という使い方もできるわけで。
※収録作品
柳広司「熊王ジャック」
芦辺拓「審理(裁判員法廷二〇〇九)」
泡坂妻夫「願かけて」
石持浅海「未来へ踏み出す足」
北村薫「想夫恋」
大倉崇裕「マックス号事件」
田中啓文「忠臣蔵の密室」
柄刀一「紳士ならざる者の心理学」
米澤穂信「心あたりのある者は」
福井健太「本格ミステリの四つの場面」
巽昌章「宿題を取りに行く」
(ラスト2つは評論)
解説は有栖川有栖