印象的な青空と花畑とドクロのジャケットが、何だかap bankとbank bandの本質を示しているようで、少し微笑ましかった。
さて中身は。
ap bank fes '10に向けた櫻井和寿と小林武史との対談で、「09で矢沢永吉が出演した時点で、やりたいことをやりきった感があった」のと同時に、「自分たちより若い世代へのリスペクトをすべきではないか」という旨の発言があった。
というわけで、その意識はこのアルバムにはっきりと現れた。
このバンドに名前を連ねているのは、それこそ数多の音楽たちを手懐けてきた豪腕たち。そして、管も弦も取り揃えた、何ともゴージャスな編成。
そういうバンドが、自分たちより若い世代の、なおかつ音楽的思春期感あふれるオリジナルアレンジをどう咀嚼し、どう料理するのかが、ものすんごく楽しみだったし、個人的にはスリル満点の発売1週間前だった。
でも結局は…
やっぱこの音楽集団はすごい。ゴーイングの「ハートビート」は何となく想像できたけど、ラッドの「有心論」は想像以上の疾走感。そして何よりフジファブリックの「若者のすべて」を、櫻井さんの声でこのタイミングで聴けるというのは、本当に感慨深い。聴いてるかな、志村さん。
bank bandも実に何年目だ?もう6年?7年になるの?今回のアルバムは、ある意味で自分たちが今まで積み上げてきたバンドの表層的イメージを強引に塗り替えるようなコンセプトとラインナップで作られている。
でも、ひとたび音源を耳にすると、どの年代であれ、どんな思想であれ、ロックであれ、ポップであれ、フォークであれ、「所詮はすべて音楽なんだ」ということをこともなげに示唆するような、懐の深い音が連続する。
そこにアクセントとして鳴る「緑の街」は実に感動的だ。そして最後に、「結局やりたかったのはこういう音楽なんだ」とでも言っているような「奏逢〜bank bandのテーマ〜」が、強烈かつ美しいフィナーレとして居座る。完璧。
こういう音楽の楽しみ方を知っている人たちが、一つの目的に向かって音を鳴らすなんてCD、なかなか無いですよね。