本書は2つの手法から構成されている。
1つ目はルポルタージュである。著者が全力を傾注して取材し、フランスの実
態をありのまま書いた。2つ目は要人へのインタビューである。 登場するの
は、欧州を代表する知識・実力・名声を兼ね揃えた大物たちだ。
第一回目の投票で多く票を得た第1位、2位が決戦投票へ進める大統領選挙
で2002年、極右の親玉・ジャンマリー=ルペン『国民戦線』党首が2位につ
け決選投票に進出、とんだばんくるわせと極右の台頭に欧州は震撼させられた。
欧米メディアでは大物ヒール役であるルペン党首の大邸宅で著者は2時間、ガチ
ンコでインタビューした。本書の1章では、「極右=国民戦線」と題して、国民
戦線に密着した突撃ルポルタージュが載っている。2章ではルペン氏のインタ
ビューが載っている。第3章ではサッカー選手で世界的英雄・ジネディーヌ=ジ
ダンがFIFAワールドカップ2006決勝戦で見せた怒りの頭突きについて書
かれている。
第4章では、2005年5月29日に国民投票で否決された欧州
憲法の投票日までの賛成派・反対派の白熱した攻防を丹念に描かれている。否決
が欧州に与えた影響について論じ、なぜフランス国民は「ノン」をつきつけたの
か......その眞相に迫った。第5章では欧州憲法をつぶす原動力となった地方貴
族出身のカリスマ政治家・フィリップ=ドヴィリエ子爵にインタビューした。ド
ヴィリエ子爵は「フランス人の運命をブリュッセルの官僚に委ねるわけにはいか
ない」と熱く語った。
第6章では保守派の中で次期大統領になる可能性が最も高い男・ニコラ=サル
コジ内務大臣の思想・人格・人気の背景に迫った。フランスでもあまり報道され
ることのない氏の醜悪な下半身スキャンダルについても書いたので、ゴシップ好
きの人には楽しんでいただけるであろう。第7章では左派の中で次期大統領と目
されている「フランス1セクシーな」女性政治家・セゴレーヌ=ロワイヤルさん
を紹介した。著者は彼女に直接会い、インタビューしている。
第8章では「日本より10倍面白い! フランスの政党──社会党から快楽党
まで」と題して、フランスの政党について紹介されている。快楽党はヌードダン
サーやポルノ女優が結成した政党だ。
第9章では「死刑廃止を断行──ミッテラン前大統領」と題して、10年前に
亡くなったフランソワ=ミッテラン前大統領について語った。愛人が50人い
て、前立腺ガンに侵されながらも女性たちとの逢瀬を死ぬまで楽しんだミッテラ
ン前大統領の人間味あふれる素顔に迫った。58歳年の離れた隠し子の娘
が1994年にスクープ・公表されたときの微笑ましいエピソードも紹介してい
る。
第10章では「人権活動家の語る『死刑・貧困・水飢饉・フランス暴動』」と
題して、国際連合に大きな影響力を持つ人権NGO『フランス自由協会』を率い
るダニエル=ミッテラン前大統領夫人にインタビューした。ルペン氏が極右
の大御所だとすれば、ダニエルさんは人権派の大御所といえる。
第11章では「地球規模での『持続可能な発展』を探る──赤毛のダニー・イ
ンタビュー」と題して、欧州議会議員で欧州議会会派『欧州緑の党』代表のダニ
エル=コーンベンディット氏にインタビューした。「赤毛のダニー」という愛
称で親しまれる同氏は1968年に学生を中心にして起きた叛乱『パリ5月革
命』の英雄で、現在では欧州環境派の大御所・リーダーだ。
第12章では「イラクで拉致された女性記者──フローランス=オブナさん」
と題して、イラクで武装勢力に拉致され半年監禁されたオブナ記者との出会
い・交流について書いている。
補章では宮台真司・首都大学準教授との対談「フランス流多様性の衝撃」を収
録している。