妹尾河童は独特な俯瞰図や「少年H」の原作者として有名だけれど、本業はあくまで舞台美術家である。本書では筆者の仕事のテリトリーである舞台のさまざまな分野を包み隠さず紹介している。芝居用の靴専門斡旋業者や大道具の方たちの仕事風景、効果音の今昔物語、舞台監督の仕事内容、舞台美術の創意工夫、照明の重要性など興味深い内容が続く。舞台が総合芸術と呼ばれる所以に深く納得。ぼくは学生時代に三谷幸喜、竹中直人の芝居を1本ずつと、京都の南座で催された歌舞伎教室に参加したことがある。本書を通読したあとに観劇していたならば、さらに演劇の奥深い世界を目の当たりにすることができたのだろうな、と思う。今度の休日に芝居を見に行きたくなった!