私が賤民史を調べだし、この本を購入した頃は芸能面については全く興味を持っていませんでした。
(此処で言う芸能とは歌舞伎・能・狂言など)
後半はほぼ芸能史となるわけですが、前半だけの記述を取り上げてみてもその濃度は充分すぎる程で
賤民史のみを研究されている方にも満足できる内容に仕上がっています。
京都を中心にした話も多いので、当たり前の京都観光に飽きてきた方達にもピッタリの内容だと思います。
前半は賤民史の入門書として読み進め、興味が無くなったらそこで読むのを止めます。
そして現在は芸能史に興味の無い方も、賤民史を暫く追求しているとどうしても芸能史にも手を出さざるを
えなくなる状況になる方も居ると思います...
そんな時にはこの本の後半が再び入門書となってくれるのです!(2度美味しい!)
たまたま著者の監督された「梟の城」を観る機会がありましたが、この方の時代考証の入念さには
恐れ入りました。
それを知った後にまた読み直すと感慨深いですね....
文中に山椒大夫の原作が出てきます。
森鴎外の名前で出ているのは、かなり残酷な部分をカットしている別物です。
どうしても山椒大夫の原作に興味のある方は、
説経節―山椒太夫・小栗判官他 (東洋文庫 (243))などをどうぞ。
満喫できると思います。