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河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)
 
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河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書) [新書]

元木 泰雄
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

武家本流と呼ばれる河内源氏だが、栄光のみに彩られたわけではない。始祖頼信から頼朝の幕府樹立に至るまで、一族の激動の歴史を追う

内容(「BOOK」データベースより)

十二世紀末、源頼朝は初の本格的武士政権である鎌倉幕府を樹立する。彼を出した河内源氏の名は武士の本流として後世まで崇敬を集めるが、祖・頼信から頼朝に至る一族の歴史は、京の政変、辺境の叛乱、兄弟間の嫡流争いなどで浮沈を繰り返す苛酷なものだった。頼義、義家、義親、為義、義朝と代を重ねた源氏嫡流は、いかにして栄光を手にし、あるいは敗れて雌伏の時を過ごしたのか。七代二百年の、彼らの実像に迫る。

登録情報

  • 新書: 228ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2011/9/22)
  • ISBN-10: 4121021274
  • ISBN-13: 978-4121021274
  • 発売日: 2011/9/22
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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By 雲のジュウザ トップ1000レビュアー
 源頼信を祖とする清和流河内源氏の盛衰を詳述した書。

 まず、冒頭の清和源氏の系図は、清和流の他の源氏も詳しく掲載しており、清和源氏に興味を持つ者にとっては興味深い。大和源氏、満政流、義光流らの系図が詳しく記載されており、本書を読みつつ、何度も参照した。
 そして、本書で興味を惹かれたのは次の点である。

 第一は、河内源氏の盛衰を詳細に綴っている点、とりわけ、マイナーと思われる部分が詳しく取り上げられている点である。源経基・満仲に始まり、河内源氏の始祖・頼信の器量の大きさと強かさ、それを引き継ぎ奥州での前九年の役で勝利をもぎ取った頼義、栄光と挫折、そして苦悩に満ちた八幡太郎義家の生涯、義家没後の内紛と没落、保元・平治の乱による壊滅という、河内源氏の200年史は、とても読み応えがあった。
 そして、頼信の東国での活躍や、義家没後の義綱・為義らによる内紛劇は、頼義・義家親子の奥州での活躍や、為義・義朝親子の対立劇に比べると影が薄いはずなのだが、そういったマイナーな部分が詳しく綴られており、それが特によかった。

 第二は、従来の歴史観とは異なる、筆者による河内源氏の歴史観である。すなわち、河内源氏は代々東国武士団と主従関係を深め、源義家に至って東国武士団の棟梁として大きな力を持つに至ったため、それを恐れた朝廷から圧力を受け、ゆえに義家の死後に没落したという従来の歴史観に対して異を唱えている点である。
 著者は、全国の武士団が義家を武家の棟梁とみなして、馳せ参じる、あるいは、馳せ参じようとするといったことは現実的には考え難いとして、義家の時代に河内源氏がすでに東国を中心として武士団を統率していたという従来の歴史観を否定している。
 個人的には、八幡太郎義家といえば、天下第一の武勇の士というイメージを持っていたので寂しくも思うけれど、著者の言うように、当時、顔も知らない義家の武名だけで全国の武士が馳せ参じるというのも、不自然である。

 第三には、軍事貴族という概念を用いて、平安期の武士の性格を捉えていることである。武士と貴族を階級的に対立した存在として見るわけでもなく、さりとて、武士と貴族を支配階層として同列に論じるわけでもない。武士を、軍事・武芸を職能とし、辺境において夷狄を鎮圧し、京においては王権を守護する「軍事貴族」という存在として説明している点である。
 天皇や摂関家に祗候し、京での勢力拡張を図り、辺境でも在地の豪族と繋がりを作って武力を伸長させる武士のあり方を、正確に言い当てているように思う。

 以上から、平安期の武士に興味を持つ人であれば、本書は一読の価値があろう。
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By モチヅキ VINE™ メンバー
 本書は1954年生まれの中世前期日本政治史研究者が2011年に刊行した本である。河内源氏は源頼朝を輩出した武士本流の家柄であるがゆえに、従来過度に鎌倉幕府に引きつけて理解されてきたが、本書は史料批判と社会的結合(特に権門との関係や姻戚関係)の分析により、以下のような解釈を主張する。第一に、武士は地方に拠点を持ちつつ京の政界でも活動する(留住)軍事貴族と、京での地位を失い地方官や荘官に就任していた土着武士とに大別でき、河内源氏は前者に当たる。第二に、承平・天慶の乱の鎮圧者の家系が有力武門として確立するが、むしろ藤原北家と結び多田の所領で武士団を形成した満仲が武門源氏の祖とされる。第三に、二代頼信(河内源氏の祖)は東国受領として自力救済の世界の治め方を学び、平忠常の乱を収拾したが、義朝に至るまで国衙を通じずに河内源氏が動員できる兵力は僅かであった。第四に、三代頼義は桓武平氏嫡流の娘婿となったことで、東国での夷狄討伐の役割を継承した。第五に、四代義家は京の王権守護の役割も担当したが、後三年合戦を私戦と見なされ経済的困窮に追い込まれた。その結果、嫡流や郎等をめぐる一族の対立や、地方に進出した傍流間の争いが相次ぎ、河内源氏に代わって伊勢平氏が台頭する。第六に、六代為義は若年ゆえに一族郎等を統率できず、不祥事が目立ち、院から忌避されるようになったが、荘園の集積と興福寺統制に勤しんだ藤原忠実と主従関係を結んだ。第七に、七代義朝は廃嫡されて東国に下向したが、武士団対立を調停しながら彼らを組織し、美福門院や藤原信頼と手を結んで、保元の乱で一族の内紛を克服した。第八に、義朝は保元の乱後、破格の恩賞を受け武家棟梁となったが、既に乱以前から官位や京での兵力動員において平氏との格差は歴然としていたため、平治の乱で河内源氏は壊滅した。
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「広汎な東国武士を組織した河内源氏の武将は、多くの地方武士を主従関係に組織する武家棟梁となり、その発展によって鎌倉幕府が樹立され(た)」
「頼義、そして彼を継承して私兵のみで後三年の役を平定したとされる義家の時こそ、武家棟梁の全盛(である。)」

この本は上記の様な見方、武家棟梁論等を「鎌倉幕府の成立を当然のものとして、その前提を遡及させる結果論的な見方、さらには武士と貴族とは別の階級であり、武士相互で結合しなければならないとする、発展段階説に規定された今となっては古めかしい歴史観」と痛烈に批判、河内源氏の実像に迫るにはこうした思い込みから離れる必要があるとしている。

そして、その様な思い込みから離れ河内源氏の実像に迫る視座として軍事貴族という概念が提示される。この本では、自然発生的に武士階級が勃興、その新興勢力である武士階層から尊崇を集め、棟梁として担がれた河内源氏、それが後の武家政権誕生に繋がったという俗的な見方、構図を批判しつつ鮮やかに覆す。

例として河内源氏歴代は院、摂関家など王権との関係を保つことで貴族としての官位、官職を得、衛府・検非違使・受領などに就任することを本義とし、その王朝権威をもって地方統治、争乱鎮定にあたっていたこと、所領給与権のない段階での河内源氏独自の軍事力はあくまでも限定的なものであったと断じ、河内源氏の名声を不動のものとした始祖頼信による平忠常の乱平定も現地の諸事情に通じた頼信による巧みな調停によるものであったこと、頼義による前九年合戦、義家による後三年合戦は共に現地勢力の参戦が決定的な役割を果たしたとし、前九年合戦後には清原氏、後三年合戦後に藤原氏が勢力を伸張させる一方、河内源氏が奥羽に地歩を築くことが出来なかったのは当然の帰結であったと断じている。

何れにしてもこの本は、著者である元木氏が「王権と自力救済の間で揺れ動きながら、栄光と没落、凄惨な骨肉の争いを経験した、実に劇的な一族」としている河内源氏の実像に迫る格好のものである。
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