今年に入るまで彼女が逝去していたことを知らなかった。
信じられない...このアルバムを手にして呟くのは、誰もがこの言葉だろう。
つい最近『ARIA』シリーズにて、その透明感あふれるソプラノヴォイスに聞き惚れたばかり。
そのARIAからの楽曲中心であるからか、どこまでも穏やかで、まるで天国のような、
その美しい歌声が奏でる音楽は、まさに「至福」の一言のみで満ち足りる。
以前(ワーズワースのテーマ以来)久方ぶりに再会し出合った彼女の歌声は、
「空へ」(アニメ『ストレンジ・ドーン』OPテーマ)という楽曲にて―だった。
松井五郎作詞の巧みな歌詞もだが、どことなく物哀しげな、凛としたその歌声の透明感、
まさしく空を突き抜けていくような、どこまでも夢を追うハイトーンヴォイスに思わず涙ぐむ想いを抱いた。
今回のアルバムには収録されていないが、本追悼盤の彼女の歌声に寄り添う度に、
その時の既視感を感じる。奇しくも今、彼女が微睡(まどろ)んでいるであろう、
その天国にも似た、どこまでも優しくあたたかな波音と潮風に満ちた世界。
そこで彼女は、どんなにか幸せそのものの歌うこと=生きることの喜びに輝いていただろう。
天地に響き渡る、穢れを知らぬ天使の歌声。彼女の歌声そのものが羽を持った天使だった。
まさに劇中のARIAの歌姫そのものの、その至福の中に彼女のすべてを包み込んで...
河井英理というアーティストは、いつまでも、ここにいる。
ここでずっと歌い続けている――その真実が、まさに凝縮された一枚。
永遠の空へ...あらためて御冥福を御祈りします。