芸術は何故、歳を取らないのだろう。不思議である。制作者が歳を取り、死んでしまっても、作品はいつまでも瑞々しい。芸術でないものは、時間と共に歳を取り、消えていくのに、芸術は毅然としてそこに在り続ける。例えば、昨日今日出たばかりの流行曲がすぐに消えていってしまうのに、パッヘルベルのカノンがいつまでも新鮮なのは何故だろう?一つ一つの音のつながりの、どこにそんな差があるというのか。素人の自分には解らない。
同じように河井寛次郎が作る陶器が、何故これほどまでに斬新なのか。理解できないのである。だって、河井寛次郎その人は明治生まれの人なのだ。平成を生きる自分の目に、河井寛次郎の陶器はあまりに生々しく「今」を映しだす。そしておそらく、それは50年後も100年後も変わらないのだろう。何故なのだ?永遠だとか宇宙だとか、芸術家はどうしてそういうものを表現できるのか。さっぱり理由が掴めないでいる。
本著では、河井寛次郎の建築、陶器、木彫り、書、詩作品等の写真と説明文、年表を所収。河井寛次郎を知るための、よい一冊となっている。