いまや沖縄を訪れる観光客は年間500万人を超え、さらに増え続けている。私も含めたその多くは、本土では見ることができない美しい海に感動し、リゾートホテルで非日常を楽しみ、市場に並んだ色とりどりの魚に目を見張る。
しかし忘れてはいけない。沖縄はわが国で唯一といってもいい『地上戦』が戦われた場所であり、いまなお返還されない米軍基地の用地によって生活を分断され、塗炭の苦しみを味わい続けている島であることを。この本は私たちがあえて目をそむけ、耳をふさいできた事柄を突きつけてくる。
太平洋戦争末期に、沖縄上陸を目前にした米軍は島に60万発もの艦砲射撃を浴びせた。10tトラック2万台分だという。『鉄の暴風が吹いた』といわれ、生き残ったものは「わたしらは艦砲射撃の食べ残しですよ」と自嘲する。あまりに激しい殲滅だったために亡くなった島民の数はいまだ正確にわからず、一族郎党が全滅して「○○の子」としか刻まれない墓碑銘があるという事実には戦慄する。
沖縄という本来は戦いを好まない島の人たちに、ニホンは、ニホンジンたちはいったい何をしてきたのか。何をし続けているのか。観光に訪れる前にぜひ一読をお勧めしたい。