基本的には沖縄問題を読み解くための重要な参考書ですが、一歩進んで
「だれにも書かれたくなかった戦後・現在の日本の体たらく」を理解するためにも読む意味が
ある本だと感じます。沖縄の反対側に読んでいるあなたの存在があり、その存在にどんな実体が
あるのかを問うている本と読めます、これは。(この本は、自分にそう問いかけて来る。)
日本(本土)に、考える主体、行動する主体としての「中身」・「実質」はあるのか、最初から最後まで
筆者は問い続けています。政治家は、官僚は、一般の人々は、沖縄を遠くで相対するもののように思って
いるけれど、「自分の」「日本の」ことなわけで、沖縄が解決しないのは、震災後文庫で付け加えられた
章などに書かれるように、被災した東北の、原発の、進まない解決と全く重なるということです。
最近、石原都知事が購入を検討し始めた尖閣列島のことも書かれていますし、上下巻通して読む
ことで、現在の日本と日本人のことが深く理解できる本だと思います。
宮本常一のことを書いた「旅する巨人」だったか、その頃から時々佐野さんの本を読むのですが
今回のものは、真に労作と呼べると思います。