本書は「月刊PLAYBOY」05年10から08年6月号まで、33回にわたって連載した「沖縄コンフィデンシャル」に加筆修正を施し、五つのジャンルに分けて再構成した約640頁のメガ・ノンフィクションです。「月刊PLAYBOY」というとヌード雑誌というイメージがあるのですが、割と硬派な連載をしていたとは廃刊後に知りました。本書は沖縄を五つの切り口からルポをしており、それぞれが緩やかにつながりながら独立していますので、関心の高い部分から読むのがいいでしょう。どのジャンルのも聞いたことのない人物が多数登場しインタビューやら資料やら多量に提示されていますので、興味のない部分は読み進むのがやや苦痛でした。
今まで沖縄モノといえば、戦争の被害を全て引き受けた被害者に謝る、沖縄県民を一点の汚れもない純真無垢な聖者のように描いた夥しい数の書籍があふれています。佐野氏は沖縄県民を聖者化することは、彼らを愚弄することとほぼ同義だと考えています。この島の戦後60年以上の歳月が流れた事を敢えて無視しようとする欺瞞と、それにともなう精神の弛緩が垣間見えるといっています。
五つのジャンルの中でもII「沖縄アンダーグラウンド」が読ませました。このパートでは戦後沖縄ヤクザの発生から始まって現在の勢力地図にいたる暴力団の消長のプロセスをあまざず描いています。またこれまでほとんど知られることのなかった奄美大島の差別の歴史と、そこからたくましく立ち上がったヤクザについても触れられています。
沖縄の政治、経済、社会、芸能に関していかに私たちが無知であったかを痛感する一冊です。日本国は沖縄であったこれら戦後の出来事をなかったこととするかのごとく、歴史教育から徹底的に切り離しています。沖縄にも戦後があり、本土と同じ60年以上の月日を経ている事は大人として知っておかなければならない事実なのではないでしょうか。