下川裕治、仲村清司、両名の共著とあります。実際には5名の執筆による、沖縄に独特な文化を項目別に紹介している本です。
内容は、他の沖縄文化にかかわる書物を何冊か読んでいる者にとっては、なるほどと再確認するあたりではないかと感じます。
ただところどころにはさんである「コラム」を読んでみると、ちょっと違う角度から色づけしているようで、面白みも増します。
第4章のコラム「なぜ沖縄にひかれたのか」を読んでみると、仲村さんの個人的な思い出が、不思議に読んでいる私の思い出にも思えてきて、うんうんとうなずいている自分を感じます。
本の内容とは直接関係ないのですが、5名の著者の中でも下川さんと仲村さん。沖縄エッセイストの二人の文章をじっくり読んでみてわかってきたのですが、似たような話をしている部分でも、仲村さんの文章が下川さんと少し違うことに気づいてきます。もちろん書き手が違うので当然なんですが、下川さんがどちらかというと「語気」が強く、読んでいる私たちに訴えているような、向かって来ているような文章なのに対して、仲村さんの文章は、決して平易な言葉を使っているということではなく、文章そのものが、丸く優しい、不思議な、読んでいるものを仲村さんの近くに連れて行ってくれるような、それでいて十分な沖縄史の知識に裏打ちされている安心感を感じます。
読んでいると、なぜか、仲村さんのような文章を書きたい、そう思ってきます。変なたとえですが、若いころ高校生のころだったか太宰治の「津軽」「桜桃」を読んだとき、ああこんな文章を書きたいと思ったこと、ちょっと思い出したりしてみました。
3月14日加筆
上のレビューでは沖縄文化にかかわる本を何冊か読んだ自分にとっては、という書き方をしましたが、通り一遍の観光から抜け出し、沖縄が持つ独自の文化や風習にふれたいリピーター旅行者にとっては、非常に有用な沖縄入門の一冊ではないかと思います。