沖縄について読むことは、楽しみでもあり哀しみでもあります。
憧れとともにこれまでの歴史の重さを感じないわけにはいかないからです。
これまでにもいろいろな沖縄関係のものを読んできました。が、この本は、
また沖縄の別の一面を教えてくれました。いわば、庶民からの視点と言って
いいかもしれません。
照屋敏子は、いわば「名士」の家の嫁になりましたから、一般庶民という
のとはすこし違うかもしれませんが、南方で儲けた財産をすべて無くすなど、
想像を絶する苦労を重ねてきました。もちろん、戦後の食うや食わずの時代
もくぐり抜けてきました。
そんな生き方から生まれた「沖縄独立」。そのための経済基盤を持つため
の闘争。敏子は確かに実業家だったのです。
走り続けなければいけなかった敏子の生涯に、敬意を表したいと思います。
ところで、沖縄独立をどの程度まで本気で考えていたのか。政治的なもの
をどうしようとしていたのか。そのところが良くはわかりません。本の中に
も書かれていますが、生涯を通してこの点について系統的に語っていたわけ
ではないのでそれは不明です。『独り立ちするためには経済的な基盤を持た
なければならない』という、今日でも一般的な発想だけがベースだったのか
もしれません。それでも、次から次に事業を起こしていく姿は圧巻です。
減点するほどの理由ではないのですが、話題の時間軸がとどこどころで急
に前後します。ちゃんと読んでいれば良いのでしょうが、読み返すところが
ありました。また、著者は敏子という人に惚れてしまっているのでしょうね。
惚れた人については、ときどき、冷静には書けないようです。