沖縄ブームである。定年を迎え、沖縄に移住する人、休みのたびに沖縄に行く人……
目的は「癒し」だろう。たしかにゴミゴミした都会に比べ沖縄は大らかで自然が残り
心が癒される…かもしれない。
しかし美しい自然も、1カ月も見ていれば飽きる。
移住者が次々と都会に戻ってきているのも、下水道などのインフラができてないという
「現実」に突き当たるためだ。
私は10数年前に沖縄(八重山諸島)に行った。その後何度か行っているが、
ここ数年で大きく変わった。まず「便利」になった。
そして露骨に「観光」を前面に押し出すようになった。
ほとんど人の行かない島だった与那国島は「ドクターコトー」効果で
リゾートホテルまで建った。
西表島の「陸の孤島」船浮にも定期船が出ている。
著者は、単にこうした観光化を憂いているのではない。
無秩序な開発と観光化が、沖縄の特長を消し去ってることを嘆く。
「このまま東京の近郊都市のようになるのか」――と。
「便利になることは悪くない。しかしそれで沖縄は自立できるのか」――。
私は沖縄に幻想を見ているのかもしれない。あるいは「旅の人」の勝手な思い込みかもしれない。
またしてもヤマトンチュウはと蔑まれるかもしれない。
しかし笑わば笑えである。私は言わずにはいられないのだ。(はじめに より)
沖縄に通い続けてきた大宅賞作家の「思い」がほとばしる1冊である。