「天使が震える夜明け」に続くミネアポリス警察署殺人課シリーズの2作目。「天使が震える夜明け」と訳者が変わってます。劣るというわけではないのですが、小説全体の印象が微妙に異なるので最初戸惑いました。読み進んでいくうちに気にならなくなりましたが。「天使が震える夜明け」で、萌えキャラ的登場人物を作り物めかさず血と肉を持って造形できておりました人物描写の確かさも変わりません。むしろキャラ萌えに走らず、地味で平凡な年老いた人々にスポットライトを当て、確かな筆力でその人生の光と影を立体的に描き出している「沈黙の虫たち」の方が私は好きですが、この辺は好みによるでしょう。また「沈黙の虫たち」が2001年の同時多発テロの後で書かれた作品であることを考え合わせると、作中のある人物のセリフ、「これまでずっと、あんただけがいい人だったな。俺たちのだれよりいい人だ。あんたこそヒーローだ。」この言葉に込められた著者の行間のメッセージには心に響くものがあります。