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今(2004年7月)巷では、同じく地球終末の危機を描いた『デイ・アフター・トゥモロー』という映画が話題になっています。CGを多用した圧倒的迫力でハリケーン、津波、氷河期がもたらした終末世界を描いていますが、それを40年も前に幻視ししたのがJ.G.バラードで、彼が描く終末はどこか詩的で美しく心ひかれるものがあります。人類が繁栄した象徴である大都市は完全に水没し、巨大ビル群は水底から頭だけを覗かせる世界。生き残った人間は極北の土地に移り住み、人が捨てた都市は動植物が繁栄する野生のジャングルと化しています。都市に残ったわずかな人間達もまた、照りつける太陽に焼かれ、倦怠し退廃し理性を狂わせ、やがて暴力的な生の本能を剥き出しに争う世界。要するに「暑さも度を越すと人間おかしくなってしまうのは当たり前」と言うことですね(笑)
先にバラードの描く終末は「どこか詩的で美しい」と書きましたが、それは<破滅の美>がそこにあるからです。そしてこの作品には文明が退行していく過程があり、その先に熱帯が人にもたらす<原始の世界への回帰>があります。それは熱帯の暑気と湿気に恍惚となる、何と蠱惑的な誘いでしょう。
この本はやはり夏に読むべき本でしょうね。夏の暑さでボーッとなった頭で読むと、よりリアルにこの終末世界を体感できると思います。とにかく夏に読むべし。
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