3時間22分、途中休憩10分の大長編です。山崎豊子の長編小説の映画化。この原作は、彼女の作品の中でも「映像化されていなかった最後の傑作」とのことです。これまで映画化、テレビドラマ化されなかったのかは、様々な理由があるでしょうが、その第一は、痛烈なJAL批判にならざるを得ないからでしょう。 『沈まぬ太陽』どころか、JAL本体が沈みかけている今日この頃。(苦笑) もちろん本作は、すべてフィクション。エンドクレジットでもパンフにもやたらと強調されていますが、そんなものは建前に過ぎません。
戦後、日本航空の内部で何が起きていたか、航空史上最悪の墜落事故の裏に何があったのか。スタッフ、キャストが一丸となってその謎に挑む本格社会派作品となっていました。
出版、放送といった業界における大スポンサーを敵に回してこの作品を作り上げた人々の決断、勇気に敬意を表します。
主演の渡辺謙は、プロジェクトの立ち上げ当時から強い希望で立候補していたそうで、渾身の役作りで主人公を演じています。不器用だが、正義感があり、純粋で、昭和のモーレツ親父そのもの。そして、経済成長の中で突っ走るように生きる行天四郎を演じた三浦友和も素晴らしい。最近、ダメ親父を演じることが多いですが、本作では出世一筋にすべてを利用し、自分でも止まらなくなった暴走の中で生きる男。ラストシーンのなんともいえない表情も見事でした。
また本作は、昭和30年代、40年代が舞台となっていますが、あの頃の雰囲気や肌触りがなかなか本物らしく撮影されており、海外ロケも含め美術スタッフや撮影陣はいい仕事をしていると言っていいでしょう。
社会派ものとしては、政治家サイドの非情さが、まだまだ描けていないように感じましたが、見ごたえの社会派作品であることに違いありません。