当方は金融機関に勤めていたので、これまでにたくさんの決算書の読み方に関する本を読んできました。
しかしどの本も単純に経営分析の数式や図などを用いて「流動比率は注意すべきポイントです」などといった、教科書的でどこでも聞けそうな話ばかりで現実味に欠けるものが殆どでした。しかし、この本は『決算書の9割は嘘』というショッキングな切り口から、元国税調査官である著者の経験を踏まえてとても具体的で”泥臭い”話ばかりを紹介しています。過去に起こった有名な粉飾または脱税の事件に関する背景について言及する事で、会社の経営者たちが粉飾や脱税に手を染めるまでの経緯が分かってきます。
それと同時に、決算書を読むときは一期分の数字を見るだけではなく、少なくとも三期分は用意して、決算書を”立体的に”読む必要があるという意味もよく理解できます(読み方のテクニックについては本書の中で分かりやすく説明してくれています)。結局企業の経営関係者といえども一人の人間であり、悪意のあるなしに拘らず数字をごまかす可能性は大いにあるという事は知っておいた方がいいと思いました。余談ですが、本書の内容を元会社経営者の父親に話したところ、「(合法的に)数字を動かすのはどこでもやっている事だ」との事でした(苦笑)
とても身近でとっつきやすい内容なので、これまで『決算書本』で挫折してきた方にこそ、本書はオススメです。