本年度発売された会計本の中で一押しです。決算書の読み解き方を、「会計操作」を見破る観点から書かれています。
・「企業の利益には『金額』の違いだけでなく『質』の違いがあるということ―本書を書こうと決めたのは、そのことの大切さをあなたと共有したいと思ったからです。」
筆者の強い決意が感じられます。本書はひたすら「利益の質」を見抜くためのスキルを提供してくれています。ただしこのスキルとは単なる技術ではなく、最終成果物である決算書という暗号を、会計知識を総合的に活用し、いろいろな目線で見ることによって読み解くという、包括的なノウハウであり、実に奥が深いものです。それをわかりやすく順を追って説明してくれています。
・「決算書を読むときにもっとも大切なのは、損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー計算書を3つ合わせて見ることです。」
なんてことはない当たり前のことですが、筆者は表現を変え繰り返し主張します。決算書は一つの企業(集団)の経営実態をいくつかの角度から表現したものですから、どこかに操作を加えると、どこかに歪みが出るということです。「分析の基本は『物事はすべてバランスで考える』ということ」「『美しいバランス』とは自然な成長のこと」という項目を読むとそのことがよくわかります。
プロが読んでも十分に歯ごたえがあり、大変勉強になる本です。逆にいいますと、会計に携わったことのない人にとっては専門用語についていけずしんどいと思います。とはいえ、株式投資をしようとしている人であれば、是非ともガッツで読破してほしい一冊です。