今までの,白亜紀末大量絶滅の紹介本の中では群を抜いていると思います.
今,一番最先端の(旬の)若手研究者による非常に読みやすい本に仕上がっています.
正直,私自身も,近年のサイエンスライターやエセ研究者による「小惑星衝突絶滅原因否定説(以下,否定説)」には辟易していました.それは,私がK/Pg境界の論文をたくさん読むことによって何が正しいか,あるいは何が正しくないのかを判断できる立場にいるので,そう感じることが多かったからです.
その点,この若い著者は,否定説の論理の矛盾・飛躍,データの欠陥や主張の齟齬を,理路整然と論理的に,しかも一般の方々にもわかるように丁寧に説明されているので,「小惑星衝突が大量絶滅を引き起こした」という仮説に,いやがおうにも納得せざるをえません(従って,デカントラップを形成した火山噴火説などは否定されます).
また,激しい論争であるK/Pg境界の研究の話にもかかわらず,非常に紳士的な態度で,研究者として中立の姿勢の物腰のやわらかな書き方にも好感が持てます(著者は,今後も科学的に妥当な反論が出たら,ちゃんと耳を貸す・受け止めると書いています).
さらに,著者は,絶滅論争に自分自身も参加しているので,最新の情報を,これでもか!!というくらい盛り込んでいて,楽しみながら勉強にもなります.加えて,研究者の人間模様や喧々諤々の論争が非常にリアルに書かれてあり,研究者の生態や人となりも楽しく知ることができます.
このような本の内容が一般に普及することを切に願います.
本当の真の科学を学びたい人にはこの本をお薦めします.