最初は、お堅いビジネス書のつもりで読みはじめたが、「決断」
をめぐる短編小説のように「読みふけって」しまった。ケネディ
大統領のキューバ侵攻事件の失敗や、スペースシャトル・コロン
ビア号の空中分解事故など、関係者へのリアルなインタビューに
もとづいた斬新な分析に引き込まれる。
なぜ人は、まちがった決断をくだすのか。正しい決断をくだす秘
訣はあるのか。この本では、正しい決断は「ない」、あるいは
「わからない」と指摘する。つまり、ある決断の結果を判断する
こと自体に長い時間がかかるので、無意味だというのだ。そうで
はなく、決断に至る「正しいプロセス」に注目せよと指摘する。
思ってもみなかった明快な視点だ。
ふと、前に見たTVドキュメンタリーで、星野リゾートの星野社
長が会議しているシーンが頭に浮かんだ。そのとき星野社長は、
自分では何も「決めず」、幹部たちの議論にいろいろアドバイス
を与えながら、ある時点で議論を打ち切り、結論を出すようにス
タッフたちを促す。そして、最後に「あなたたちが充分議論して
決めたことだから、みんなで実行してください」というようなコ
メントを加えていた。
この本では、ますます複雑化する世界では、もはや、カリスマ性
をもった強力・強烈なリーダーは通用しにくくなっていると指摘
する。みんなで議論し、決定し、それを全員で納得して実行に移
すための決断の「プロセス」こそが、いま求められているようだ。